JRの電車も「脱炭素」へ…山手線で省エネ運転を試行 10%程度のエネルギー削減を確認

E235系の車両モニタリング機能を利用して省エネ運転の研究が進められている山手線。
  • E235系の車両モニタリング機能を利用して省エネ運転の研究が進められている山手線。
  • JR東日本が提唱する省エネ運転の概要。従来よりトップスピードのレベルを低くして、加減速しない惰行の時間を長くする。
  • E235系の車両モニタリング機能を利用した省エネ運転試行の流れ。
  • 省エネ運転試行の詳細。走行データから消費電力量と所要時間の散布状況を割り出し、省エネ効果の基準線(紫色)を設定。それより下の領域を省エネ効果ありとして省エネ運転曲線を決定し、それを基に運転を試行した。
  • 省エネ運転試行で得たエネルギー削減効果と削減量。
  • 将来的には車両モニタリング装置からのデータ取得や変換、分析を自動化する予定で、現在、その開発が進められている。

JR東日本は9月7日、山手線で実施している省エネ運転の試行結果を明らかにした。

これは、駅間の所要時間を変えずに最高速度を抑え、運転時のエネルギーを削減することが狙いで、加速時間や減速時間を短縮し、惰性により走行する「惰行」の時間をより長くしようというもの。

試行に際しては、E235系に搭載されている車両モニタリング機能を利用して、走行中における駅間ごとの消費電力量や所要時間、加減速操作のタイミングなどを分析し、その結果を基に省エネ効果と乗務員による再現のしやすさなどを考慮した加減速操作のタイミングを決定したという。

試行の結果、約10%の運動エネルギー削減を確認できたとしているが、これは年間で二酸化炭素(CO2)約1400t分に相当する約500万kWhの削減になるという。首都圏の在来線全線に換算すると、CO2約7万3000tに相当する約2億3000万kWhの削減になる見込み。

JR東日本では今後、走行データ取込みや省エネ運転曲線選定の自動化、乗務員への最適な運転操作のタイミングを伝える省エネ運転支援の導入などの検討を進め、「E235系が導入される他線区への展開や将来の自動運転への知見の活用など、省エネ運転の取り組みを推進していくことで、『脱炭素社会』の実現に貢献します」としている。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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