整備ネットワークのモデルケース…スーパーオートバックス熊本東バイパス店に「キャリブレーションエリア」新設

スーパーオートバックス熊本東バイパス店に「キャリブレーションエリア」新設
  • スーパーオートバックス熊本東バイパス店に「キャリブレーションエリア」新設
  • 株式会社オートバックスセブンの小林喜夫巳社長は、地域連携の重要さに言及
  • 株式会社オートバックスセブン 小林喜夫巳社長
  • BSサミット事業協同組合 磯部君男理事長
  • 株式会社熊本オートバックスの金子政義社長は、今回の取り組みがSDGsの一環であることを述べた
  • ホイールアライメントテスターを備えるエーミングエリア
  • 基準点から1mm単位で床を計測することで効率化を図る
  • 会場には、オートバックスとBSサミットの垂れ幕が設置されていた

株式会社熊本オートバックスは7月7日、スーパーオートバックス・熊本東バイパス店(熊本市西原)の整備ピットリニューアルに伴う「キャリブレーションエリア」新設発表会を開催した。

発表会では、熊本市内のディーラーや整備事業者、提携損害保険会社に対して、オートアフターマーケット業界の垣根を超えた連携を実現し、カーオーナーにとって利便性が高い「整備ネットワーク」を創出する方針が明らかにされた。

発表会には、FC本部の株式会社オートバックスセブンから小林喜夫巳社長が出席。また、2020年8月にオートバックスセブンと包括業務提携を結んだ、自動車整備・鈑金塗装の全国ネットワーク組織、BSサミット事業協同組合(以下、BSサミット)から磯部君男理事長が来賓として訪れ、新たな取り組みに対する期待をのぞかせた。株式会社オートバックスセブンの小林喜夫巳社長は、地域連携の重要さに言及株式会社オートバックスセブンの小林喜夫巳社長は、地域連携の重要さに言及BSサミット事業協同組合 磯部君男理事長BSサミット事業協同組合 磯部君男理事長

ASVは校正(キャリブレーション)作業が必要

最近のクルマ(ASV)には、自動ブレーキなど安全運転をサポートする機能が多数搭載され、フロントガラスやバンパーにカメラやセンサーなどが取付けられている。このため、高度な機能が正常に機能しているか、校正(キャリブレーション)が求められる。

注意点は、自動車メーカーごとに異なるシステムが採用されており、校正作業に必要な場所や機材が異なること。このため、様々なメーカーの車両が入庫する専業・兼業の整備工場が、全メーカー車種の校正を行えるように機材や設備を揃えるのは非常にハードルが高い。ゆえに、自社では対応できない作業を行える外注先の確保が必要となる。

新設「キャリブレーションエリア」の特徴

今回、スーパーオートバックス・熊本東バイパス店に新設された「キャリブレーションエリア」の特徴は、最新型の設備とスペースを確保している点だ。

車検整備対応用に、ホイールアライメントテスターを備える「前方センシングキャリブレーションエリア」を用意。それだけでなく、車体整備に係るブラインドスポットモニターや全方位カメラのエーミングに対応可能な「360°キャリブレーションエリア」も備える。

これにより現行の国産車に限れば、約80%のキャリブレーションに対応。ディーラーを除く一般の整備工場として可能な範囲に限れば網羅していると説明があった。ホイールアライメントテスターを備えるエーミングエリアホイールアライメントテスターを備えるエーミングエリア基準点から1mm単位で床を計測することで効率化を図る基準点から1mm単位で床を計測することで効率化を図る会場には、オートバックスとBSサミットの垂れ幕が設置されていた会場には、オートバックスとBSサミットの垂れ幕が設置されていた

“地域連携のハブ”として展開

今回の発表会で、特に強調されたのは「地域のディーラーや整備工場から外注作業の請負を行い、設備の共用も行う」点だった。単に、スーパーオートバックス・熊本東バイパス店で、ASVの電子制御装置整備に係る新たなサービスを開始するというアナウンスではなく、同店が“地域連携のハブ”となる決意を示すものであった。

特に、車体整備に係るブラインドスポットモニターや全方位カメラのエーミングに対応可能な「360°キャリブレーションエリア」の新設は、車検や一般整備を中心に事業を展開するオートバックスにとっては、それほど利用価値が高いものとは言えない。

2020年8月に包括業務提携を行なったBSサミットと連携し、車体整備をBSサミットが、電子制御装置整備をオートバックスが担う新しい連携を狙っていることの証明と言える。

そしてこれは、国土交通省が示した特定整備認証の飛び地や、施設の共用を認めるという、これまでの分解整備にはない新しいルールを活用したモデルケースとなっていく可能性を秘めている。

背景にあるのは、2019年にFC本部であるオートバックスセブンが策定した経営計画「5ヵ年ローリングプラン2019」である。

その経営計画の中で、6つのネットワークづくりを掲げているが、その一つが「次世代技術に対する整備ネットワーク」であり、今回の地域連携はまさにその具体的な施策のモデルケースとなる試みだ。株式会社オートバックスセブン 小林喜夫巳社長株式会社オートバックスセブン 小林喜夫巳社長整備ローカルネットワーク イメージ整備ローカルネットワーク イメージ

熊本のアフターマーケットに新たな付加価値を生み出す

株式会社熊本オートバックスの金子政義社長は冒頭の挨拶で、地域に電子制御装置整備を正しく行える施設がなければ、整備不良による事故が多発する恐れがあることに触れた。

「今回のキャリブレーションエリア新設は、SDGsにおける “世界の道路交通事故による死傷者を半減させる”に該当する取り組みであると考えています。また、お互いの得意な経営資源を持ち寄ることは経営効率の向上に繋がり“多様化、技術向上及びイノベーションを通じた高いレベルの経済生産性を達成する”ことにも寄与できると考えております。熊本のオートアフターマーケットに新たな付加価値を生み出し、業界をあげて新たなチャンスが芽生えることに期待しております」と、持続可能な開発目標の一環であることを述べた。株式会社熊本オートバックスの金子政義社長は、今回の取り組みがSDGsの一環であることを述べた株式会社熊本オートバックスの金子政義社長は、今回の取り組みがSDGsの一環であることを述べた

《JCR市川直哉》

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