フェラーリ市販車初のV6エンジン搭載、『296GTB』は新世代PHV…実車を発表

3.0リットルV型6気筒ターボエンジンは最大出力663hp

PHVシステム出力は830hpと後輪駆動スポーツカーで最強

EVモードの航続は最大25km

0-100km/h加速2.9秒で最高速は330km/h以上

フェラーリ 296 GTB(モーターバレーフェスト2021)
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  • フェラーリ 296 GTB
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フェラーリは7月1~4日、イタリア・モデナで開催された「モーターバレーフェスト2021」において、『296GTB』(Ferrari 296 GTB)の実車を初公開した。

3.0リットルV型6気筒ターボエンジンは最大出力663hp

296GTBの名称は、総排気量(2992cc)と気筒数(V型6気筒)に、「グラン・ツーリスモ・ベルリネッタ」の頭文字であるGTBを組み合わせたものだ。フェラーリのロードカーに6気筒エンジンが搭載されるのは、今回が初めてとなる。

また、296GTBには、フェラーリのロードカーとして初めて、シリンダーバンク角が120度のV型6気筒ターボエンジンを搭載し、プラグインハイブリッド(PHV)システムの電気モーターを組み合わせている。

新しいV6エンジンは、フェラーリのエンジニアが専用に設計・開発したもので、フェラーリで初めて、ターボをVバンク間に配置している。その結果、新しいV6は、最大出力663hpを発生し、排気量リッターあたりのパワーが221hpという市販車の新記録を打ち立てているという。

PHVシステム出力は830hpと後輪駆動スポーツカーで最強

V6ターボの後方には電気モーターが組み合わされており、296GTBのPHVシステム出力は830hpと、後輪駆動スポーツカークラスの最強に位置する、と自負する。PHVパワートレインは、V6ターボエンジン、8速デュアルクラッチトランスミッション、「Eデフ」、エンジンとトランスミッションの間に位置する「MGU-K」で構成する。クラッチはエンジンとモーターの間にあり、電気のみを使う「eDrive」モードでは両者を切り離す。高電圧バッテリーと、モーターを制御するインバーターも搭載する。

IHI製ターボチャージャーは、より高性能の合金を採用して新設計された。これにより、ターボの最高回転数を18万rpmにまで引き上げることが可能となり、過給効率が24%向上したという。ターボは、シンメトリーの逆回転式でモノスクロールタイプ。このソリューションの採用により、高いパワーを実現しながら、コンプレッサーホイールの直径は5%、タービンホイールの直径は11%、V型8気筒エンジン用よりコンパクト化された。

電気モーターを後輪駆動のみに使うPHVアーキテクチャーは、296 GTBがフェラーリ初だ。電気モーターはリアに搭載され、最大出力167hpを発生する。モーターとエンジンは、「トランジション・マネージャー・アクチュエーター(TMA)」を介して連携し、同時に使用すればシステム出力830hpを発揮し、切り離してモーターのみで走行することも可能だ。

EVモードの航続は最大25km

MGU-Kは、ダブルローター、シングルステーター型のアキシャルフラックスモーターだ。サイズと構造がコンパクトなため、パワートレインの全長を短くでき、296 GTBのホイールベースを2600mmへ短縮することにつながったという。このモーターが高電圧バッテリーを充電するほか、エンジンを始動させ、トルクとパワーを上乗せし、EVモードのeDriveモードでの走行を可能にする。バッテリーは蓄電容量が7.45kWh 。EVモードの航続は最大25kmで、この時の最高速は135km/hとした。

MGU-Kの設計を改善したことで、最大トルクは32.1kgmに達し、以前の仕様より20%増加した。トランジション・マネージャー・アクチュエーター(TMA)は、電動からハイブリッド、エンジン駆動へ、またその逆へと、素早い移行を可能にし、スムーズでリニアなトルクデリバリーを可能にしている。TMAの制御ソフトウェアは、フェラーリが自社開発。これがDCTやモーター、インバーターのソフトウェアと情報交換をして、エンジンの始動やトランスミッションとの接続・切断を、より効率的にマネージメントするという。

新世代のコンポーネントによって、TMAはコンパクト設計を可能にした。TMAは、トリプルプレートの乾式クラッチ、ドライブライン、同軸のクラッチコマンドモジュール、クラッチコントロールリンケージ、ECUで構成されている。

0-100km/h加速2.9秒で最高速は330km/h以上

296GTBの高電圧バッテリーは、製造時にレーザー溶接を使用する設計によって、7.45kWhの蓄電容量と高いパワーウェイトレシオを実現した、と自負する。バッテリーパックはフロア下に位置し、容積と重量を最小化するため、冷却システムと構造部材、固定装置はひとつのコンポーネントに組み込まれた。セルモジュールは直列に接続された80個のセルで構成。セルスーパーバイザーコントローラーは各モジュール内に直接組み込み、サイズと重量を削減した。

296GTBのインバーターは、並列に接続された2個のシリコン製モジュールを基本とし、そのパワーデリバリーモードは、MGU-Kが最大トルク32.1kgmを発揮できるよう最適化されている。このコンポーネントは、電気エネルギーの変換効率がおよそ94%と高く、最大の電力が求められている状況でも、V6の始動に必要な電力を供給できるという。

トランスミッションは8速デュアルクラッチ「F1」。乾燥重量は1470kg。296GTBの動力性能は、0~100km/h加速が2.9秒で、最高速は330km/h以上と発表されている。

《森脇稔》

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