羽越・奥羽新幹線関係6県合同プロジェクトチーム(PT)は6月21日、羽越・奥羽新幹線について、費用対効果や整備手法などの調査・検討結果を公表した。
このPTは、1970年に公布された全国新幹線鉄道整備法に基づき、1973年に決定された新幹線の基本計画路線のうち、羽越新幹線(富山市~青森市間)と奥羽新幹線(福島市~秋田市間)の早期実現を国に働きかけることを目的に、2017年に関係する青森・秋田・山形・福島・新潟・富山各県の課長級職員らで設立された。
調査は2017年8月から2021年度にかけて行なわれ、15回の会議を経て検討結果が取りまとめられた。その結果、社会的観点から見た事業の妥当性を示す費用便益比(B/C)は、従来のフル規格新幹線に見られる複線・高架で整備する場合、どちらかの新幹線を整備する、両方の新幹線を整備するのいずれも総便益が総費用を下回る1未満となっている。
一方、軌道を「土構造」(いわゆるバラスト軌道)とした単線で、駅舎をよりスリム化した場合は、すべてのケースで総便益が総費用を上回る1以上となり、費用対効果があることを示している。
また、B/Cに反映される到達時間については、対東京で秋田からが1時間14分、山形からが46分、鶴岡からが1時間12分短縮されると試算。日本海側の地域間では富山~新青森間が1時間26分、新潟~秋田間が2時間29分、山形~秋田間が2時間41分短縮されると試算され、新潟や山形から秋田方面への短縮効果が際立っている。
PTでは両新幹線の整備により、交流拡大による多彩なイノベーションの構築や新たな広域交流圏の創出、集中型から分散型へのネットワークの形成などを期待しており、今後は、息の長い取組みになることを想定しながらも「政府における効率的な整備手法の研究結果や費用対効果の評価手法の見直しに係る検討動向も踏まえつつ、リダンダンシー機能の確保など国土形成に果たす役割等も訴えながら、政府に対し羽越・奥羽新幹線の整備実現を働きかけていきます」としている。