日野自動車が4月27日に発表した2021年3月期連結決算は、新型コロナの影響により全世界で販売が減少したことに加えて、北米2工場の生産停止に伴う特別損失を計上したことで、当期損失が74億円と10年ぶりの赤字となった。
その一方で国内での販売の回復が想定より早まったことや、固定費削減などの収益改善に取り組んだことにより、連結営業利益は122億円と前期に対して77.7%の減益となったものの、従来予想に対しては92億円上振れての着地となった。
日野の中根健人取締役・専務役員は同日、オンラインを通じて行った決算説明会で「構造改革含めて固定費の削減、あらゆることに対して従来のやり方を変える、もう一度やるべきことを徹底的に選別するといった業務プロセスの改革が大幅に上積みできた」とした上で、「売上が伸びない中で収益力向上に向けた施策が着実に成果を上げてきている」と評価した。
2022年3月期はグローバルで前期比5.2%増の15万台を計画。このうち国内は同2.2%増の6万1000台、海外は同7.3%増の8万9000台を見込んでいる。中根専務は「国内は前期の一時的な買い控えの戻りを若干見込み、海外は市場の回復が緩やかで足元のレベルの販売が継続するとの前提を置いてる」と説明した。
またトヨタ向けの販売台数も前期を上回る計画となっているが、「新収益認識基準の適用により主として有償支給額が売上から控除される」ことから、2022年3月の連結売上高は前期実績の1兆4984億円に対し、1兆3300億円にとどまる見通し。ただ従来基準で比較すると今期は実質3.4%の増収となる見通し。
さらに収益改善の取り組みを「21年度においても緩めずに進めていきたい」との方針のもと、連結営業利益予想は470億円と、前々期の548億円に近い水準にまで回復することを見込んでいる。