【WRC 第3戦】トヨタ1-2、最終ステージの逆転でオジェが今季2勝目…勝田はステージウインを2回記録して3戦連続6位

トヨタが1-2、優勝はセバスチャン・オジェ(中央右。隣=中央左はコ・ドライバーのJ.イングラシア)。
  • トヨタが1-2、優勝はセバスチャン・オジェ(中央右。隣=中央左はコ・ドライバーのJ.イングラシア)。
  • 優勝を飾った#1 オジェ(トヨタ)。
  • 優勝を飾った#1 オジェ(トヨタ)。
  • 2位の#33 エバンス(トヨタ)。
  • #69 ロバンペラ(トヨタ)は早々にリタイアとなってしまった。
  • 3位の#11 ヌービル(ヒュンダイ)。
  • 5位の#16 フォルモー(Mスポーツ・フォード)。
  • 6位の#18 勝田貴元(トヨタ)。

世界ラリー選手権(WRC)第3戦がクロアチアで開催され、最終日の現地25日、最後の逆転でセバスチャン・オジェが今季2勝目を飾った。2位はエルフィン・エバンスでトヨタの1-2フィニッシュ。勝田貴元は2度のステージウインを果たし、ラリー総合では3戦連続6位となった。

WRC初開催のクロアチア・ラリーはターマック戦(舗装路戦)。競技初日となった金曜、いきなりの波乱が発生する。前戦終了時点でWRC史上最年少のポイントリーダーとなった#69 カッレ・ロバンペラ(トヨタ・ヤリスWRC)が、今回のラリー最初のスペシャルステージ(SS=競技区間)でコースオフ、崖下に転落して早々に完全リタイアとなってしまったのである。「コースオフは自分のミスによるものだ。この経験から学ばなければならない」と20歳。

金曜終了時点ではヒュンダイi20クーペWRCの#11 ティエリー・ヌービルがトップ。しかし土曜にトヨタ勢が逆転し、首位#1 セバスチャン・オジェ、2番手に#33 エルフィン・エバンスという1-2態勢で最終日(日曜)へ。

最終日、首位の#1 オジェをアクシデントが襲う。朝、ロードセクション(移動区間)で一般車両が相手とされる接触事故があり、車両の側面等にダメージを負った状態でこの日のSSを戦うことになってしまったのだ。最終日のSSはSS17~20の4本。SS18終了時点で#33 エバンスがトップに浮上する。

ボーナスポイントもかかる最終パワーステージ(SS20)を迎える段階では、首位が#33 エバンス、3.9秒差の2番手に#1 オジェで、トップ差8.0秒の3番手が#11 ヌービルという戦況。3人のなかで最初に最終ステージを走った#11 ヌービルのタイム(最終ステージのタイム)は8分18秒0。続いて#1 オジェが8分14秒0で走り終え、この時点でトヨタ勢いずれかのラリー優勝は確定、あとは#33 エバンスが逃げ切れるかどうか、という状況になった。

#33 エバンスは最終ステージの道中、#1 オジェに遅れるスプリットタイムの推移に。3箇所のスプリットタイム記録時、#33 エバンスの#1 オジェに対するステージタイムの遅れは、1.4秒~3.4秒~2.9秒と変化した。つまり3.9秒の“貯金”は、2.5秒~0.5秒~1.0秒と揺れ動いていたことになる。

それでもなんとか逃げ切れるか、というところだったが、#33 エバンスは最終盤で手痛いミスを演じてしまい、ステージゴールタイムは8分18秒5、#1 オジェよりこのステージが4.5秒遅かったために3.9秒の貯金は0.6秒の借金へと変わり、#1 オジェが逆転優勝を飾ることとなった。

優勝した#1 オジェ(トヨタ)のコメント
「まるでジェットコースターのように感情が大きく揺れ動いた週末だったよ。なにより重要なのは、今朝のロードセクションでのアクシデントでケガをした人がいなかったことだ。それが最大の気がかりだった」

「クルマのダメージはそれほど大きくなく、競技を続けることができた。でも、あれだけのことが起きたのだから、優勝できるとは思っていなかったよ。ただ、多くの人が知るように私は決してあきらめない男だ。最後まで戦い続けた。今週末、良い仕事をしていたエルフィン(エバンス)には同情しているけどね。チームのために、1-2で表彰台に立つことができて嬉しく思う」

#1 オジェは開幕戦以来の今季2勝目、トヨタも今季2勝目となった。トヨタの1-2フィニッシュも今季2回目。

惜しくも2位に敗れた#33 エバンスは、「最後のステージ、セブ(オジェ)が本当に速かったのは事実だけど、自分が最後のコーナーでミスをしてしまった(ことが直接的敗因)。望んでいた結果ではなく、とても悔しいが、わるくない結果だとも思う。今週末、チームは素晴らしいクルマを用意してくれたし、最初から最後まで全力で戦い、ラリーを楽しむことがができた」と語っている。

ディフェンディングチャンピオンの#1 オジェはラリー優勝の25点とパワーステージ1位のボーナス最大5点で計30点のフルマークを果たし、ドライバーズポイントリーダーの座を奪還(ランキング2位は#11 ヌービル、首位から8点差)。また、今回1-2フィニッシュのトヨタ(TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team)はマニュファクチャラーズポイント首位を守り、ヒュンダイ(HYUNDAI SHELL MOBIS World Rally Team)に対するリードを27点に拡大した。

第3戦クロアチアの3~4位はヒュンダイ勢で、3位は#11 ヌービル、4位に前戦ウイナーの#8 オット・タナク。5位には今回が自身初のトップカテゴリーマシン(WRカー)でのWRC参戦だった若手25歳、#16 アドリアン・フォルモー(Mスポーツ・フォード・フィエスタWRC)が入っている。

#18 勝田貴元(トヨタ)は開幕から3戦連続の6位。土曜には2度のSSトップタイムを記録する健闘を見せた。トヨタの豊田章男社長は勝田に対し、「WRCでのトップタイム、本当にすごいことです。先日、帰国した際の私からのアドバイスが役に立ったね…と言いたいところですが、努力を続けている貴元自身の成長の結果です。次戦以降も楽しみにしています」と賞賛のコメントを寄せている。

WRC次戦の舞台はポルトガル、開催予定日程は5月20~23日だ(なお、WRCの今季カレンダーには変更が断続的に出ており、チリ戦が消えてギリシャ・アクロポリス戦が久々の復活、夏のフィンランド戦が約2カ月遅れの秋に移動、といった状況が発生している)。

*本稿の順位、開催予定等は日本時間4月26日午前11時の時点でのWRC公式サイトの表示等に基づくもの。

《遠藤俊幸》

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