EVのバッテリー、低価格化に限界…コスト改善の新たな分野は? ラックスリサーチ

ホンダの電気自動車:ホンダe
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電気自動車の製造コストは、出力75kWhクラスで、現在の1万2700ドルから2040年には7000ドルを下回る額で製造されるという。バッテリーから最大限の走行距離を引き出すため、バッテリーパックや車両の設計に今後いっそう重点が置かれる。

先端技術を専門とする調査会社のラックスリサーチ(本社:米国ボストン)の予測だ。ラックスリサーチは、レポート『Future Energy for Mobility: The True Costs of Electric Vehicles=モビリティのための未来のエネルギー:電気自動車の真のコスト』を発行、その中で、先端パワートレイン技術採用のシナリオを含めた、電動パワートレインの総コストを分析し、バッテリー式電気自動車(BEV)の2040年時点の製造コストを予測している。

各国当局の規制により自動車産業が電動化に向かう中、最も有望なゼロエミッション車技術としてBEVが急速に成長している。しかしラックスリサーチは、既存の内燃エンジン(ICE)搭載車に比べ、BEVの製造コストが高止まりしていると指摘する。

レポートでは、自動車メーカーがBEVの製造コストを削減するために検討可能な分野を指摘する。電気自動車を構成する各種部品の中で、バッテリーは最も高価な部品のひとつだ。電池にセル・ツー・パック構造を採用し、低価格のバッテリーセルの利用と簡素化されたパック構造とすることが、大きなコスト削減へとつながるという。

だがラックスリサーチによると、バッテリーだけがBEVの収益性に貢献する技術分野ではない。モーターとインバータの効率改善、より安価な固体電池、これらとセル・ツー・パック構造を組合せることで、最も大きなコスト削減がもたらされる。75kWhの電気自動車の製造コストは、現在の1万2700ドルから2040年時点で7000ドルを下回る額で製造されるという。

ラックスリサーチのリサーチディレクターでレポートの筆者であるクリス・ロビンソン氏は次のように指摘する。

「自動車の電動化は実現するか否か、という点を疑問視する人はなく、それが実際にどれくらい早く行なわれるか、が焦点となっている。電動化の推進要因としては、技術開発と購入補助制度という2点が挙げられる。バッテリー単体の性能向上のほかに、バッテリー交換式の電気自動車も注目されていることから、小型のバッテリーパック利用によるコスト削減も考えられる」

ラックスリサーチでは、バッテリーの低価格化が鈍化し一定の水準で止まることから、バッテリーパックや、バッテリーから最大限の走行距離を引き出すための車両設計に、今後はいっそうの重要性が置かれると考える。

《高木啓》

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