企業倒産件数が30年ぶりの8000件割れ、コロナ禍による緊急支援策が奏功 2020年度

企業倒産年度推移
  • 企業倒産年度推移
  • 2020年度産業別倒産状況
  • 主要産業倒産件数構成比推移
  • 2020年度都道府県別倒産状況

東京商工リサーチは4月8日、2020年度(2020年4月~2021年3月)の全国企業倒産状況を発表。倒産件数は30年ぶりの8000件割れとなった。

2020年度の全国企業倒産は前年度比17.0%減の7163件。2019年9月から2020年4月まで人手不足や消費増税、暖冬などで増勢が続いたが、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急避難的な資金繰り支援策が奏功。2020年7月以降、9か月連続で倒産は大幅に抑制された状態が続いている。年度としては1971年度以降の50年間で、1990年度(7157件)に次ぐ、4番目に低い水準となった。

負債総額は同4.4%減の1兆2084億1100万円だった。3年連続で前年度を下回り、50年間で1989年度(1兆1865億8000万円)に次ぐ、5番目に低い水準となった。負債500億円以上の倒産が1件(前年度ゼロ)など同10億円以上が192件(同185件)と大型倒産は増加したが、同1億円未満が5478件(同6490件)と全体の76.4%を占めたため。同1億円未満の構成比は、過去30年間で最高を記録し、小・零細規模を中心に推移している。

新型コロナウイルス関連倒産は1148件。1月から3か月連続で100件を超えている。

産業別倒産件数は、10産業のうち金融・保険業と不動産業を除く8産業で減少。最多はサービス業他の2434件(前年度比8.7%減)。新型コロナウイルの感染拡大によるインバウンド需要の消失などの影響を受けた宿泊業が127件(同71.6%増)と急増する一方、飲食業が784件(同6.7%減)と減少し、5年ぶりに前年度を下回った。また、小売業が965件(同21.9%減)で、2年ぶりに前年度を下回った。そのほか、情報通信業260件(同22.6%減)が2年連続、農・林・漁・鉱業94件(同5.0%減)と建設業1117件(同24.9%減)、製造業824件(同22.1%減)、卸売業947件(同22.1%減)が2年ぶり、運輸業227件(同9.2%減)が3年ぶりに、それぞれ減少した。一方、不動産業263件(同4.3%増)が2年連続、金融・保険業32件(同18.5%増)が5年ぶりに、それぞれ増加した。

地区別倒産件数は、2015年度以来、5年ぶりに、全9地区で前年度を下回った。北海道166件(同19.8%減)が4年連続で前年度を下回った。中部963件(同9.9%減)が3年連続、関東2617件(18.3%減)と近畿1924件(同12.7%減)、中国327件(同14.1%減)が2年ぶり、北陸171件(同21.5%減)と九州561件(同21.3%減)が3年ぶり、四国136件(同31.6%減)が4年ぶり、東北298件(同31.0%減)が5年ぶりに、それぞれ前年度を下回った。北海道は1991年度以降の30年間で、初めて100件台。また、東北も初めて200件台になった。関東が1990年度(2625件)以来の2000件台に、中部が1991年度(923件)以来の1000件割れ、近畿が1990年度(1239件)以来の1000件台に、四国が2016年度(132件)以来の130件台に、九州が2017年度(560件)以来の500件台に、それぞれとどまった。また、北陸が1991年度以降の30年間で、件数が最少になった。

《纐纈敏也@DAYS》

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