【WRC 第2戦】ヒュンダイのタナクが優勝、トヨタの20歳ロバンペラが2位でポイントトップ浮上…勝田は2戦連続6位

WRC第2戦の表彰式。中央の段の右が優勝の#8 タナク(同段左がコ・ドライバーのM.ヤルヴェオヤ)。
  • WRC第2戦の表彰式。中央の段の右が優勝の#8 タナク(同段左がコ・ドライバーのM.ヤルヴェオヤ)。
  • 優勝の#8 タナク(ヒュンダイ)。
  • 2位の#69 ロバンペラ(トヨタ)。
  • 2位の#69 ロバンペラ(右。左はコ・ドライバーのJ.ハルットゥネン)。
  • #69 カッレ・ロバンペラはポイントリーダーに浮上した。
  • サンタクロースに教えを請う(?)トヨタの選手たち。
  • 6位の#18 勝田貴元(トヨタ)。
  • 7位の#2 オリバー・ソルベルグ(ヒュンダイ)。

2021年世界ラリー選手権(WRC)の第2戦“アークティック・ラリー”がフィンランドで現地2月26~28日に実施され、ヒュンダイのオット・タナクが優勝を飾った。2位はトヨタの20歳カッレ・ロバンペラで、ポイントリーダーに浮上。日本の勝田貴元は2戦連続6位となっている。

北欧フィンランドでのWRCといえば、旧1000湖ラリーの系譜にあるラリーフィンランド、例年夏にユバスキュラ周辺で開催される一戦が有名。昨年はコロナ禍でキャンセルとなったが、今年は例年通りの時季に、現時点ではWRC第8戦として開催が予定されている。今回の2021年WRC第2戦は、フィンランド開催ながら“ユバスキュラ戦”とは別物である。

今大会の名称は「WRC Arctic Rally Finland Powered by Capitalbox」、アークティック(Arctic)は直訳すると北極だ。サービスパークが置かれるのはラップランドの中心都市であるロバニエミで、ここはユバスキュラよりも緯度で約4度高く、地図上では北極圏寸前。今大会の一部スペシャルステージ(SS=競技区間)は実際に北極圏を走る(この地域では例年、年初にアークティック・ラップランドラリーという大会が実施されており、今大会には重なるステージ等もあるとされる)。

トヨタ対ヒュンダイ、開幕戦モンテカルロではトヨタ優位だったWRC最前線のマッチアップだが、今回のフルスノーイベントではヒュンダイがラリーを優勢に進めた。ラリーの宿命ともいえる出走順による有利不利の問題が前戦好結果のトヨタ勢の初日(26日 金曜)に厳しく作用したともいえるだろうが、支配的な流れで第2戦に勝利したのはヒュンダイi20クーペWRCを駆る#8 オット・タナク。土曜終了時点で20秒以上のリードを築き、最終日の日曜もそのまま逃げ切っている。

開幕戦ではリタイアという辛い出足だった有力王者候補のひとり#8 タナクだが、第2戦で今季初優勝、早くも巻き返してきた。ヒュンダイ勢は#11 ティエリー・ヌービルも3位に入り、ダブル表彰台。さらに#42 クレイグ・ブリーンが4位に続く好結果となっている。

一方のトヨタ・ヤリスWRC勢では開幕戦優勝の#1 セバスチャン・オジェが土曜に雪壁に当たってスタック、デイリタイアを喫してしまい、ラリー総合の最終結果は20位に。#33 エルフィン・エバンスも5位と、開幕戦1-2のふたりは好調持続とはいえない流れに終始した。

そこで気を吐いたのが“トヨタ第3の男”である。フィンランドの20歳(2000年10月1日生まれ)#69 カッレ・ロバンペラが、今回トヨタ勢最上位フィニッシュの2位となった。

#69 ロバンペラは敵陣 #11 ヌービルとの争いを制しての2位で、チームに貢献し、自身のWRC最高位を更新(過去最高は3位だった)。パワーステージ(最終SS)ではトップになり、ボーナスポイント最大値もゲットした。#69 ロバンペラは第2戦終了時点で混戦のドライバーズポイント争い首位に躍り出ている(ロバンペラは39点で、ランク2位の#11 ヌービルは4点差。ランク5位までが12点差の圏内)。

今回2位、ポイント首位となった#69 ロバンペラ(トヨタ)のコメント
「2位という結果には本当に満足しているよ。非常に困難な週末だった。最後まで攻めの走りを続け、パワーステージでは自分のすべてを出し切って走り、それがうまくいって多くのポイントを獲得することができた。初めてドライバー部門の選手権をリードする立場となったことを嬉しく思う。次のイベントには新たな状況で臨むことになるけれど、今までのようにペースを守り、コンスタントに走る必要がある」

WRC公式サイトによれば、ロバンペラはWRC史上最年少のポイントリーダーとのこと。トヨタワークス入りして2年目の“神童”がいよいよその真価を本格発揮し始めたようで、今後の戦いぶりにも注目だ(ちなみにカッレの父、ハリ・ロバンペラはWRC優勝経験者)。

マニュファクチャラー部門タイトル争いでは、首位トヨタ(TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team)との差をヒュンダイ(HYUNDAI SHELL MOBIS World Rally Team)が11へと詰めている(88対77)。

#69 ロバンペラ以外にも若手が存在感を発揮したラリーだった。かつてスバルで2003年のチャンピオンに輝いたペター・ソルベルグの息子である#2 オリバー・ソルベルグ(ヒュンダイi20クーペWRC)が7位。19歳の彼はトップカテゴリーマシンでのWRC挑戦は今回が初めてであった。

日本の#18 勝田貴元(トヨタ・ヤリスWRC)は前戦と同じく6位(WRC自己最高位タイ)。もちろんグッドリザルトではあるが、最終日の最終SSで#2 ソルベルグが終盤に大きなロスを喫したために勝田の順位が7位から6位に上がったという展開面や#69 ロバンペラの躍進を考えると、3月には28歳になる勝田としてはここで満足してはいられない気持ちだろう。より若い世代と張り合いながら、一緒にWRCのニューウェーブを形成していってほしい。

なお、今回のラリー期間中にはフィンランド出身の1983年WRC王者ハンヌ・ミッコラさんの訃報があった(享年78)。表彰式の前には、FIAのジャン・トッド会長らも加わって、天国のミッコラさんに想いを届ける一幕も見られている。

次戦はWRC初開催国のクロアチアに転戦、開催予定日程は4月22~25日となっている。

(本稿の順位、開催予定等は日本時間3月1日午前4時の時点でのWRC公式サイトの表示等に基づくもの)

《遠藤俊幸》

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