オンライン研修ツール、コロナで重要性増す…ガリバーが1.5倍の売上増を達成

オンライン研修ツール、コロナで重要性増す…ガリバーが1.5倍の売上増を達成
  • オンライン研修ツール、コロナで重要性増す…ガリバーが1.5倍の売上増を達成
  • ClipLine株式会社代表取締役社長・高橋勇人氏。
  • スタッフからの意見と、トップダウンの意見が拠点長(各ショップ店長)のところでバッティングしてしまい、各スタッフへの個別の対応がしづらい。
  • ClipLineの大まかなシステム概念図。
  • 株式会社IDOM 山陰山口事業部のチームリーダー野村勝志氏。
  • 実際には、最適なカーライフを提案しないと顧客は満足しないとのこと。そのため、スタッフは「スマートカーライフプランナー(SP)」と呼ばれている。
  • 課題をしっかりと可視化することで、ClipLineでどういった成果を上げればよいのかが見えてくる。
  • 販売台数、粗利額など、しっかりと結果が出ている。

2021年2月26日、ClipLine株式会社は、株式会社IDOMが採用した、動画とクラウドで多店舗ビジネスの課題を解決する「ClipLine」によって、どのような効果があったのかを解説するセミナーを開催した。

新型コロナ感染症の流行以降、オンラインで社員研修が実施されることが増えてきた。IDOMでは新人研修にClipLineによるオンライン研修を採用、ClipLine導入店舗の方が、非導入店舗より業績が1.5倍も伸びていたという。

今回のセミナーもオンラインで実施され、まずはClipLine代表取締役社長・高橋勇人氏が登場し、サービス業における構造問題についてや、新入社員のオンライン研修についての課題、そしてClipLineについての解説が行われた。

高橋氏は、企業のサービス品質のばらつきは、トップダウン形式の命令伝達が、スタッフまでしっかりと届いていないということだ、と語る。このような形は、命令が経営のトップからエリア管理者、スーパーバイザー、拠点長、スタッフと伝達される途中で、拠点長の部分に、あらゆる情報が集まってしまい、企業内の情報伝達が、拠点長の管理・伝達能力に大きく依存してしまう。

この問題を解決するためには、通常、スタッフ個々の能力を上げるため研修を行う。とくに新型コロナ感染症の流行以降、オンラインで研修が実施されることが増えてきた。

ところが、現職の勤続年数2年未満の入社時オンライン研修経験者200名(年齢18~39歳の男女)にアンケートを採ったところ、受講者の満足度は7割を超えるが、研修内容を理解しにくいと感じたことがある人は6割以上という結果が出た。ZoomやGoogle Meetなどを使うと映像でも説明できるため、セミナー内容はわかりやすいように思えるが、トレーナーと1対1ではないので、内容についてわかりづらいと思っても質問しづらく、結果、理解が伴っていないというということが多くなる。

ClipLineは、そういった一方通行になってしまいがちなセミナー映像を、双方向に変える仕組みが取り入れられている。

例えば、接客の仕方についての解説の場合、見本となる接客の仕方の動画と、スタッフの役割に応じたカリキュラムを作成し配信する。新人スタッフは、その解説を見て学んだことをもとに、実践練習として自分の接客の様子を撮影し、ClipLineのタイムライン上に投稿する。投稿された動画は、拠点長、ベテランスタッフが見て、良かった点、悪かった点をコメントとして書き込みする。その書き込まれたコメントをふまえ、また接客の練習動画を撮影し、ベテランスタッフに見てもらうといった、循環が生まれることで、スタッフ個人の問題点が克服され、スタッフ全員のスキルが向上するという仕組みになっている。

次に、実際にClipLineを導入している株式会社IDOM 山陰山口事業部のチームリーダー野村勝志氏が登場し、高橋氏とディスカッション形式で、社内ではどのように使われているのかの解説が行われた。

野村氏はまず、中古車業界は、ニーズの把握と提案力がモノを言うビジネスだということを説明した。中古車を選びにくるお客様に、希望する車を伺い、それにあった車を提案しサービスや車両の良さを伝えるだけでは、真のお客様の満足は得られないとのこと。実際には、お客様のライフスタイルやこだわりから、お客様の真のニーズを引き出し、最適なカーライフを提案することが重要という。

そのためには、接客のスキルを上げることだが、接客対応は若手の社員が多いため、特に入社3年目までの社員のスキルによって、売り上げは大きく変わる。研修の仕方はかなり重要になるとのことだった。

しかし新人研修は、コロナ禍によって大きく変化したそうだ。コロナ禍以前は毎年4月から2カ月ほど集合研修で実施し、6月には店舗に配属されるという流れだった。ところが、コロナ禍となった2020年は、4月からいきなり社員は自宅待機となったため、6月初旬からZoomで2週間ほどの研修をしただけで、6月下旬には店舗に配属されてしまった。

そこで、自己紹介、商談の学習、競合調査レポート、新卒日誌といったことを、ClipLineを活用することで、新人研修の仕方が大きく変わったとのこと。

新人の即戦力化として、商談のロールプレイングについては、実際のお手本の動画を見て、新人が商談の練習を撮影し、どこが駄目なのかなど、先輩社員がメッセージを投稿することで、リアルな経験に基づいたアドバイスが受けられ、多いに役立ったようだ。また新卒日誌の投稿とレビューについては、自分が何をすべきなのかなどを俯瞰(ふかん)で見ることができ、そこに、一緒に働いている先輩方のアドバイスが受けられるため、業務についての理解度が上がるとのこと。

これらは、ClipLineの特徴でもあり、店長が新卒社員を対面による指導することや、リアルタイムによる動画による指導は従来ある方法だが、そこに、いつでも学習が可能な動画配信や、好きな時間にレビューできると言った付加機能があることで、より社員同士のつながりや、学習のしやすさが生まれ、新卒研修の評判は上々だったとのこと。

なかでも面白い取り組みとして、「あなたならどの車を提案するか」という課題は、社員同士でも特に評判が良かったとのこと。これは、架空のペルソナを用意し、複数の社員が実際に商談する様子を動画で撮るというもの。ふだんの業務中に、ほかの社員が商談する様子を見る機会はほとんどなく、更にこの動画によって、ほかの社員はこのような提案をしているのかといった気付きがあり、とても有用な取り組みとなったそうだ。

ClipLineを導入したことによる、各社員の反応は、『商談でのヒアリング、提案のポイントが分かった』、『自分で話してみる経験(レポート投稿)が良かった』、『ほかの人のレポート動画を見られるのが良かった』といった意見があったとのこと。

新人研修の成果については、ClipLine導入店舗の方が、非導入店舗より業績が1.5倍も伸びていたそうだ。もちろん、販売台数や粗利額の伸びもかなり変わったようで、研修内容がしっかりと実績に繋がっていることをアピールしていた。

《関口敬文》

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