ホンダ 倉石副社長、半導体について「在庫の持ち方を含めて見直しが必要」

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ホンダが2月9日、2020年度第3四半期累計(4~12月)連結決算を発表した。それによると、通期の業績予想が売上高12兆9500億円(前期比13.3%減)、営業利益5200億円(同17.9%減)、当期純利益4650億円(同2.0%増)と、純利益が一転して増益の見通しとなった。

この増益は、販売費、一般管理費、研究開発費など事業活動の見直し、いわゆる経費削減によるところが大きかった。その中には新型コロナウイルスの感染拡大でイベントが中止になり、その費用が浮いた分も含まれる。

しかし、質疑応答で質問が集中したのは、半導体の供給不足についてだった。というのも、その影響によって、通期の販売見通しを10万台引き下げたからだ。生産台数については、「掴んでいない」と明言を避けたが、約30万台というのがもっぱらの見方で、日系の自動車メーカーとしては最大になると見られている。

これは、拡大戦略を狙った伊東孝紳時代(2009~15年)に外資系サプライヤーの部品を積極的に採用した結果と言っていいだろう。その裏には外資系サプライヤーのほうがコスト面で有利だったということがあった。そして、ホンダ系の国内サプライヤーから外資系への切り替えが進んだ。そのツケが今回の半導体に出たわけだ。

「半導体メーカーの増産等、状況は日々変化し、緩和している。今年前半には収まると見ている。来期への事業への影響は基本的にゼロと見ている」と倉石誠司副社長は説明し、10万台の引き下げは2020年度第4四半期(1~3月)分だけだという。

日本市場では『フィット』や『Nシリーズ』、北米では『アコード』『オデッセイ』『シビック』などホンダにとって販売台数が多く、売れ筋の車種に影響があって、10万台に膨らんだようだ。

「東日本大震災などの自然災害でサプライチェーンが寸断された教訓が活かされていないのではないか」といった質問も飛び、それに対して、倉石副社長はこう答えた。

「われわれはいろいろな災害に遭ったが、その中で安定調達のために海外を含めて複数のサプライヤーから調達する。それから在庫を持つということを進めてきた。しかし、今回の半導体は、われわれが半導体メーカーから直接買ってくるわけではなく、2次、3次サプライヤーが同じ半導体を買っていたりしたこともあって、われわれが予想できないこともあった。今後は半導体についても、在庫の持ちかをを含めて見直しが必要だと考えている」

いずれにしても、これまでのような調達方法では思うような生産ができない可能性が出てくるだろう。なにしろ半導体は“産業の米”といわれているように、使われているのは自動車だけではない。むしろ自動車は1割と半導体全体に占める割合は少ない。しかも、安全性の要求が高い割に取引価格は安いと言われており、半導体メーカーにとって車載向けの優先度は高くないそうだ。そんな中で、ホンダがどんな調達戦略を立てていくか注目される。

《山田清志》

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