ターボエンジンを手軽にパワーアップ可能な「HKS EVC7」は魔法の箱 

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HKS のEVCが7世代目にあたる「EVC7」へと進化。先代モデルとの変更点や使い方を徹底検証する
  • HKS のEVCが7世代目にあたる「EVC7」へと進化。先代モデルとの変更点や使い方を徹底検証する
  • スバル WRX (前期モデル)に装着したイメージ。コックピットにも違和感なく馴染む
  • 今回のEVC7のほか、HKS製品で仕上げられたデモカー。黒いボディとシルバーメタリックのラインは、クルマ好きならひと目でHKS号とわかるカラーリング
  • スバル WRX (前期モデル)に装着したイメージ
  • エッチ・ケー・エス 第2開発部 電子商品開発課 エキスパート 本多 計仁氏
  • EVC7ではブースト圧をポイントで設定することでブースト圧をコントロールするが最も大きな変更点。ロータリースイッチの搭載で、簡単に数値の入力やプリセットの切替ができるようになった
  • 1987年に登場した初代EVC
  • HKS GTIIIタービンシリーズ、GTIII-5R(左)/ GTIII-4R(右)

チューニングにちょっと興味がある人なら「EVC」というパーツの存在は知っているかも知れない。「EVC」とは“Electronic Valve Controller”の略で、ターボのブーストコントロールを電子的に行う装置のことだ。

しかしチューニングついて知らない人だとちょっと馴染みのない3文字かも知れないが「EVC」を使えばターボエンジンを簡単にパワーアップすることが可能だ。その仕組みを理解するためには、まずはターボ車がなぜパワーがあるのかを理解する必要がある。

自然吸気とターボの違いを知る

HKS GTIIIタービンシリーズ、GTIII-5R(左)/ GTIII-4R(右)HKS GTIIIタービンシリーズ、GTIII-5R(左)/ GTIII-4R(右)HKS GTIIIタービンシリーズ、GTIII-5R(左)/ GTIII-4R(右)

一般的な自然吸気と言われるエンジンは、エンジン内のピストンが下がることによって空気を吸い込む。ちょうど注射器のピストンを引っ張るような感じだ。しかしターボエンジンはちょっと違う。ターボエンジンはターボという機械を用いてエンジンの中に空気を押し込むことで出力をアップする。排気量をアップするとエンジンのパワーが上がるのと同じように、ターボエンジンはターボによって空気をエンジン内に押し込むことで、排気量をアップしたのと同じようにパワーアップができるというわけだ。

ターボは通常捨てるしかない排気のエネルギーを使った過給システム。エンジンから出た排気でタービンを回して、同軸上の反対側に付けられたコンプレッサーで空気を圧縮してエンジンに送り込む。しかし、無制限に排気を利用して空気をどんどんエンジンに送り込んでしまうと、やがてエンジンは壊れてしまう。そこを上手にコントロールする必要があるのだが、ノーマルエンジンの設定には余裕がある場合が多く、その余裕な部分を使ってパワーアップを図るのだ。エンジンに押し込むの空気の強さを“過給圧”というが、「EVC」はノーマルの過給圧コントロールを奪い取り、「EVC」でコントロールできるようにするものだ。

過給圧コントロールユニット「EVC」に出来る事とは

1987年に登場した初代EVC1987年に登場した初代EVC1987年に発売された、初代「EVC」

HKSが「EVC」を初めて世に送り出したのは1987年のこと。1989年には日本初の280馬力エンジンを積むフェアレディZ(Z32)が登場した時代だ。ここから始まった「EVC」は、進化を続けながら2020年に7代目となった。まずは新型「EVC」の基本動作を説明しておこう。6代目からの進化については、後に列記するのでそれを参考にしてもらいたい。

エッチ・ケー・エス 第2開発部 電子商品開発課 エキスパート 本多 計仁氏エッチ・ケー・エス 第2開発部 電子商品開発課 エキスパート 本多 計仁氏エッチ・ケー・エス 第2開発部 電子商品開発課 エキスパート 本多 計仁氏に、EVC7の機能を解説いただいた

前述のように「EVC」はターボの過給圧をコントロールするシステムだ。かつては「EVC」はほとんどの車種に装着できたが、現在はノーマル車の過給圧コントロールシステムが複雑になり、一部車種では使用できないものも存在する。適合については、HKSのホームページやサポートセンター、もしくは取り扱いショップにて相談してもらいたい。とはいえ現在でも「EVC」でコントロールできるターボ車は多数存在する。

オフ(※)/A/B/C/Dの5種類のプロセットモードが設定可能。※ノーマルアクチュエーターもしくはウエストゲートのみでの制御オフ(※)/A/B/C/Dの5種類のプロセットモードが設定可能。※ノーマルアクチュエーターもしくはウエストゲートのみでの制御オフを含めると、合計で5つのプリセットモードが使用できる

まず新型「EVC」のもっともイージーな使い方を説明しよう。新型「EVC」にはA~Dまで4つのプリセットモードが存在する。ここに自分で最大ブースト圧をプリセットしておけば、4つのパターンの最大ブースト圧が使える。さらにオフモードがあり、オフの場合はノーマルアクチュエーターもしくはウエストゲートのみでの制御となるので、オフ/A/B/C/Dで5モードのプリセットが可能というわけだ。さらに、モニター右側にあるダイヤルをプッシュするとあらかじめ設定しておいた追加ブーストを一定時間使える“スクランブルモード”を使うことができる。

“スクランブルブースト”のイメージ“スクランブルブースト”のイメージ“スクランブルブースト”のイメージ

また、このダイヤル右に回すことでマニュアルでの最大ブースト圧の変更が可能。走行しながら自分の好きなブースト圧まで上げることもできる。ブーストアップの際の安全性を確保するため“ワーニングブースト”の設定ができ、走行中に何らかの要因でブースト圧がその設定値を超えた場合、過給をカットオフすることができる。

“ワーニングブースト”のイメージ“ワーニングブースト”のイメージ“ワーニングブースト”のイメージ

ここまでの設定は簡単でその名も“イージーモード”で行うことができる。しかし、さらに細かい設定も可能で、そのためには“プロモード”に移行する必要がある。“プロモード”に移行するには操作に2アクションが必要で、不用意に“プロモード”には移れない。“プロモード”にすると、エンジン回転数とスロットル開度を元に10×10=100の格子点でのマッピングが可能。

EVC上でのマッピングも可能であるが、「イージーライター(※Windows対応)」というHKS製のフリーソフトを使ってのマッピング、USBケーブルによる転送も可能。実際にはこのソフトを使ったほうがより正確にさまざまなセッティングが可能となる。EVC上でのマッピングも可能であるが、「イージーライター(※Windows対応)」というHKS製のフリーソフトを使ってのマッピング、USBケーブルによる転送も可能。実際にはこのソフトを使ったほうがより正確にさまざまなセッティングが可能となる。

「EVC」のディスプレイユニットでのマッピングすることもできるが、HKSのホームページからダウンロード可能な「イージーライター」というウインドウズソフトを使ってのマッピング、USBケーブルによる転送も可能で、実際にはこのソフトを使ったほうがより正確にさまざまなセッティングが可能となる。

先代モデルからより直感的に、細かく安定したブースト制御が可能となったEVC7

ポイントを指定することで、指定のブースト圧を設定するポイントを指定することで、指定のブースト圧を設定する右側のロータリースイッチを回転させ、ポイント指定することでブースト圧を設定する

先代モデルとなる6代目「EVC」とのもっとも大きな違いはブースト圧の設定方法だ。従来モデルはダイレクト入力といって、ブースト圧を直接入力するものだったが、EVC取り付け時にノーマルブースト値やオフセット値(過給圧特性をあらわす数値)などをあらかじめ設定する必要があった。新型は0~300までのポイントで入力する方式となった。何ポイントで何キロパスカルという決まりはなく、これは車種によって異なる。また、300ポイントでその車両の最大ブースト圧になるというわけでもない。

スバル WRX (前期モデル)に装着したイメージ

また、CPUに新世代のハイパーエンジンII(2)を採用することで処理スピードを向上。ディスプレイユニットとバルブユニットはCAN(車内LAN)で接続されるため、将来的には水温などの情報を取り込むことも可能で、より高度なセッティングが行える。ディスプレイユニットの表示フォントの変更などにより視認性を向上、プッシュスイッチ付きボリュームも大型化され操作性もよくなっている。

今回のEVC7のほか、HKS製品で仕上げられたデモカー。黒いボディとシルバーメタリックのラインは、クルマ好きならひと目でHKS号とわかるカラーリング今回のEVC7のほか、HKS製品で仕上げられたデモカー。黒いボディとシルバーメタリックのラインは、クルマ好きならひと目でHKS号とわかるカラーリング

「EVC」は手軽にパワーアップが可能なパーツではあるものの、変更できるのはあくまでも過給圧のみ。それだけでも大きな効果を体感出来るが、本格的に、そして安全にチューニングをすすめていくためには、燃料や点火時期などさまざまなパートを総合的に行う必要があるのは言うまでもない。

HKS EVC7の詳細はこちら

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

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