新型コロナウイルス、国内景気を大幅に下押し…全国波及で人とモノの動きが停滞

全国の景気DI
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帝国データバンクは、全国2万3668社を対象とした2020年2月の国内景気動向調査の結果を発表。新型コロナウイルスの影響で国内景気が大幅に悪化していることが明らかになった。

2月の景気DI(景気動向指数)は前月比3.2ポイント減の38.7となり5か月連続で悪化、7年ぶりに40を下回った。中国発の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響が全国的な広がりをみせ、業界・規模に関わらず景況感が大幅に悪化。中国国内の移動や生産活動の停止で、輸出入関連が大きく影響を受けた。さらに、訪日客の減少や各種イベントの自粛、外出の手控えなど、経済活動が大きく制約されたことや、暖冬傾向の継続、消費税率引き上げによる需要減退、世界的な株価下落も下押し要因となった。

業界別では、10業界すべてで悪化。新型コロナウイルスの影響がさまざまな業界に波及、川下の消費関連企業から川上の素材関連企業まで、サプライチェーン全体に広がった。特に「製造」が10か月連続で悪化、また「卸売」「運輸・倉庫」「サービス」も大幅に悪化した。

地域別では、全10地域、45都道府県が悪化。特に「南関東」「近畿」「九州」で景況感が大きく悪化。人とモノの動きが停滞する中、観光業が主要産業となる地域での影響が大きかった。また規模別では、「大企業」「中小企業」「小規模企業」が5か月連続でそろって悪化。新型コロナウイルスの影響で生産停止や輸出入の停滞、外出の手控えなどが響いた。

今後の見通しについては、国内外における新型コロナウイルスの広がりや収束が景気の先行きを左右する要因となる。さらに米中貿易摩擦や中東情勢など海外動向は引き続き大きなリスク要因になるとみられる。また、消費者ポイント還元事業終了後の消費動向のほか、人手不足の深刻化や働き方改革への対応などが企業経営の負担増につながることも懸念される。他方、5Gの本格化やシリコンサイクルの好転、東京五輪などは好材料となるが、今後の国内景気は新型コロナウイルスなどリスク要因も多く、緩やかな後退が続くとしている。

《纐纈敏也@DAYS》

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