同業他社の苦戦を尻目に際立つトヨタの強さ…増収増益でもあおり続ける危機感

トヨタ自動車の決算会見の様子
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トヨタ自動車は8月2日、2019年度第1四半期連結決算を発表した。売上高は前年同期比3.8%増の7兆6460億円、営業利益が同8.7%増の7419億円、純利益が同3.9%増の6829億円と、同業他社が大きく業績を落とす中で増収増益を達成した。

しかし、会見に臨んだ吉田守孝副社長と近健太執行役員には笑顔はなく、その口からは厳しい言葉が続いた。

「今回の決算はベターベターでやってきたことが結果として台数増につながり、お客さまに感謝したいと思っている。実際に中身をもう少し見てみると、この何年間進めてきた構造改革や体質強化の成果が少しずつ出てきた結果だと思う。しかし、取り巻く環境変化は大変激しく、将来の競争も大変厳しくなる。前回社長が申し上げたように、トヨタは大丈夫と慢心している場合ではない」(吉田副社長)

「今回の増収増益決算ができたことについて、このベースになったのはTNGAの導入、SUVの生産体制整備による需給の緩和、店単位できめ細かくインセンティブを見ていった結果だと思う。一方、通期では減益見通しのなっており、この中に原価低減の目標を織り込んでいるが、まだまだ目処が立っているものではない。これから大きなチャレンジを続けていかなければいけない。まだまだ予断を許せる状況ではない」(近執行役員)

このように社内に向かって危機感をあおり続けているが、この傾向は今年度に入り、さらに強まっている。現在トヨタは、社員一人ひとりがトヨタらしさ、トヨタの強みを取り戻すための企業風土改革を進めている。例えば、「やめよう・かえよう・はじめよう運動」がそうで、営業や調達、開発などの全職場で業務の見直しが行われている。また、夏の一時金の支給も組合平均で120万円と昨年に比べて1割程度少なかった。

TNGAについても、車両原価が約10%の低減を果たしたが、環境対応や安全装備の充実によって車両価格はそれほど下がっていないため、「まだまだ道半ば。良品廉価で出すことが大事だ」(吉田副社長)とさらなるコスト低減を目指して社内に発破をかける。

トヨタの強みは業績がいいときでも常に危機感をあおり続け、それを社内で共有し、全社一丸となって乗り切ろうとする風土にあると言っていいだろう。それが同業他社が減収減益で苦しむ中、増収増益となって現れたわけだ。

トヨタは2019年度の通期業績予想を円高などを考慮して、売上高を5000億円、営業利益を1500億円、それぞれ下方修正して減収減益たが、持ち前のコスト削減努力によって増収増益を達成しているかもしれない。17、18年度も当初減収減益の見込みだったが、終わってみれば増収増益だった。

《山田清志》

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