CPUからGPU、リアルから仮想空間へ…自動運転レベル5へむけた車載コンピュータのトレンド

第3回ReVisionモビリティサミット(6月6・7日、東京・御成門)
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クルマの車載コンピュータはどう進化を遂げてきたか、この先やってくる自動運転レベル5へむけてどう進化していくか。その過去・現在・未来をエヌビディアの技術顧問でGPUエバンジェリストの馬路徹氏が、第3回ReVisionモビリティサミット(6月6日、東京都内)で語った。

まずは車載コンピュータを30年前から振り返る。1990年台はCPU(Central Processing Unit)の進化で処理速度向上などが図られてきた。そのCPUも2005年ごろから性能進化が飽和状態になり、年間1.1倍という低い進化にとどまるようになった。

2000年代後半に台頭してきたGPU(Graphics Processing Unit)は、現在も年間1.5倍の性能進化を続けている。背景には、登場当初はグラフィックス応用分野だけで活用されていたGPUが、いまは科学技術計算からデータ解析、AI、ディープラーニングといった分野になくてはならない存在として進化してきたことがあげられる。

2015年、マイクロソフトの Residual Network が人間の画像認識レベルを超えてしまったというニュースは記憶に新しい。エヌビディアによれば、AIの学習速度は、数年前までは6日間かかる学習ボリュームを、6年間という短い期間で18分にまで縮めてしまったという。進化の速度は当時の500倍という計算だ。

この学習速度・認識速度のスピードが、自動運転技術に直結する。「テスラスーパーコンピューターモジュールが、8000コア。みなさんが持っているスマートフォンなどがオクタコアの8コア。現在の車載GPUは512コアという具合」と馬路顧問。

自動運転むけ先進プロセッサのトレンド

馬路顧問は、自動運転むけ先進プロセッサ XAVIER の特長についても説明。最新のプロセッサは、「異なるプロセッサで冗長実行」「CPUの二重実行」「自動誤り訂正」「各種の自己診断機能」といった機能安全を徹底させることで「1ビットもエラーを出さないように努めている」という。

また、現在の自動運転レベルに必要なAIは「おもに10種類ある」と馬路顧問。それは位置特定、距離や車線、フリースペースの認識、天候、LIDARといった要素があてはまる。そのなかでも注目するのが WaitNet というDNN(Deep Neural Network、ディープニューラルネットワーク)だ。

WaitNet は、人間の感覚にちかいDNNで、「目前の交差点のもうひとつ先の交差点の状況をみて、推測して広い範囲を検出する。混雑しているクルマの列のなかでも、前走車の前のラインも見込んで線を引いている」という。

さらにエヌビディアでは、レーンネット、パスネット、パイロットネットの組み合わせで高い精度のルートどりを実現させている。レーンネットは文字通りレーンだけを検出、パスネットはクルマの外観からレーンを含めた大きな範囲を検出、そして重要なのがパイロットネット。熟練ドライバーの感覚・知恵を入れたAIで正しいルートをリアルタイムにたどっていくという。

バーチャルリアリティー自動運転シミュレータを推進

そして車載コンピュータのこれから。エヌビディアはいま「フィールドテスト車両による検証だけでは不十分。あらゆる場面を想定したシミュレーションが不可欠」という考えのもと、バーチャルリアリティー自動運転シミュレータを推しすすめる。

また同社は、自動車運動力学を取り入れたシミュレーションも積極展開。仮想シミュレーション空間のなかでクルマを走らせ、タイヤコーナリングフォースや進行方向加速度(G)をリアルタイム計測しながらAI自動運転を繰り返していく。

馬路顧問は最後に、アメリカで行われている実証実験の事例をあげて講演をしめくくった。その実証実験とは、自動運転トラックの先進ベンチャーTuSimple社と米国郵便公社(USPS)が行った高速道路上での自動運転レベル4での走行。

ダラスとフェニックスの間、往復3540kmという距離の輸送コースをレベル4で自動運転。このトラックは、各配送拠点に予定時間より早く到着したという。

また、ダラス~フェニックスの往復3540kmを人が運転すると最低48時間かかるうえに、「ドライバーの運転は連続最大11時間まで」という米国ルールがあることから、このレベル4自動運転に期待がかかる。

同社はこの事例について、「エヌビディアだけがこれらの成果を出せる車載プロセッサ・AI技術をもっている、と TuSimple社 が言及している」と伝えていた。

《大野雅人》

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