熊本空港アクセス鉄道は大津か三里木か?…熊本県は三里木ルートを支持 大津町へ表明

熊本空港アクセス鉄道の構想には3案があったが、熊本県は熊本県民総合運動公園へのアクセスも兼ねることができる三里木ルートを支持している。1月24日に大津町と大津町議会から示された「阿蘇くまもと空港へのアクセス改善についての説明会」についての資料によると、事業費は大津ルートのほうが三里木ルートより50億円ほど低いが、大津ルートではトンネル区間が多くなり、当初の事業費が増加し、事業期間が長くなる懸念があるという。
  • 熊本空港アクセス鉄道の構想には3案があったが、熊本県は熊本県民総合運動公園へのアクセスも兼ねることができる三里木ルートを支持している。1月24日に大津町と大津町議会から示された「阿蘇くまもと空港へのアクセス改善についての説明会」についての資料によると、事業費は大津ルートのほうが三里木ルートより50億円ほど低いが、大津ルートではトンネル区間が多くなり、当初の事業費が増加し、事業期間が長くなる懸念があるという。

熊本県大津町は2月12日、阿蘇くまもと空港(熊本空港)アクセス鉄道に関して熊本県から示された方針内容を明らかにした。

この鉄道は、大津町に近い熊本空港へのアクセスを目的として構想されているもの。現在、熊本空港への主要なアクセスは熊本市内からのリムジンバス、またはJR豊肥本線肥後大津駅を発着する連絡バス「空港ライナー」が担っている。

熊本空港への安定した交通アクセスは2004年度から構想されており、当初は熊本市内からのモノレールや熊本市電の延伸による輸送、豊肥本線を延伸しての鉄道輸送の3案が考えられていたが、モノレールでは建設費(2500~2600億円)がネックになること、熊本市電では安定した輸送が困難であることから、鉄道輸送による案が有力視された。

ところが、当時の熊本空港は年間280万人程度の利用で、鉄道の場合でも建設費が330~380億円程度と試算されたことから採算性が問題視され、2007年度には検討が凍結された。

しかし、近年は、インバウンド需要に支えられて熊本空港の年間利用者数が330万人程度まで伸びていることに加えて、豊肥本線光の森駅(熊本市北区)からのアクセスとなる熊本県民総合運動公園(熊本県平山町)へのアクセス改善要望もあったことから、熊本県の蒲島郁夫知事は2018年12月に熊本空港アクセス鉄道の検討再開を表明した。

この時は菊陽町にある三里木駅から分岐する案(三里木ルート)を軸に検討することが示されたことから、空港に一番近く、かつ三里木駅よりも5倍近い利用者数がある肥後大津駅を抱える大津町が反発。1月31日には熊本県やJR九州などに対して、肥後大津駅からの分岐(大津ルート)とする要望書を提出していた。

県からの方針内容は2月8日示されたが、それによると「現在進める空港コンセッション(民間委託)により空港利用者が増加する見込みであり、定時制・速達性・大量輸送という課題を解決するためにも、現在のリムジンバスや空港ライナー以外の選択肢が必要であること、また、県の長年の課題となっていた県民総合運動公園へのアクセス改善についても対応が必須となっていることにより、今回のJR豊肥本線三里木駅からの延伸案について検討を進める」とされ、三里木ルートに変更がないことを表明。そのことを前提にJR九州と協議しているとした。

ただし、大津町の懸念に配慮して、熊本~肥後大津間の運行を「減便ありき」で考えず利便性を損なわせないこと、肥後大津駅から運行している「空港ライナー」の廃止を考えないことも示されており、鉄道開通後の「空港ライナー」については「将来的には利用状況を見ながら判断していくことになる」として含みを持たせている。

三里木ルートを熊本県が支持するのは、熊本県民総合運動公園へのアクセスを兼ねることができる点が大きな理由となっているが、熊本~三里木間では列車の運行形態が空港方面と肥後大津方面への2系統となり、現行の単線のままでは列車の分割併合が必要になり、利用者が多い肥後大津までの輸送力が落ちる懸念がある。輸送力の確保には複線化の必要性も生じるだけに、その費用負担が新たな課題となることも予想される。

大津ルートの場合、阿蘇方面からのアクセス客も見込め、2系統運行による無駄も回避できる可能性があることから、その点で運行が委ねられるとされるJR九州の考えが注目される。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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