横浜市営地下鉄が新百合ヶ丘まで延伸へ…川崎市に初の地下鉄路線 2030年開業を目指す

延伸区間の位置図(左)と概略ルート・駅位置図(右)。川崎市内を通過するルートは3案が検討されており、既存バス路線との連携が図れること、新百合ヶ丘駅がある麻生区のほか、宮前区や多摩区にも波及効果が高いなどの理由で、東側が有力とされている。
  • 延伸区間の位置図(左)と概略ルート・駅位置図(右)。川崎市内を通過するルートは3案が検討されており、既存バス路線との連携が図れること、新百合ヶ丘駅がある麻生区のほか、宮前区や多摩区にも波及効果が高いなどの理由で、東側が有力とされている。

横浜市は1月23日、横浜市高速鉄道3号線(横浜市営地下鉄ブルーライン)の新百合ヶ丘駅(川崎市麻生区)までの延伸を事業化すると発表した。あざみ野~新百合ヶ丘間約6~6.5kmの2030年開業を目指す。

この延伸事業は、川崎市北部や多摩地区などから、東海道新幹線新横浜駅へのアクセスを強化することをおもな目的として、2014年度から事業化へ向けた基礎調査が開始された。横浜市や川崎市では「横浜・新横浜都心、港北ニュータウン、新百合ヶ丘・多摩ニュータウンなど、横浜と川崎市北部、多摩地域を結ぶ、新たな都市軸が形成されます」としており、今後は両市が相互に連携、協力しながら、事業許可に向けて国や関係者との協議・調整を進めていくという。

事業化決定に際して横浜市では、川崎市麻生区内を通るルートを、西側、東側、中央の3案を検討。いずれの案も費用対効果や事業採算性が認められるとしたものの、川崎市側のまちづくりや地域交通の観点から総合的に評価した結果、東側の整備効果が高いと考えられている。その上で今後は「市民の皆様へ情報提供を行い、御意見を伺うとともに、平成31年度中を目途に1案に選定する予定です」としている。

延伸開業後は、1日あたりの利用者数を8万人程度と見込んでいる。新百合ヶ丘~新横浜間の場合、現行では町田駅(東京都町田市)で小田急線とJR横浜線の乗換えを要するが、延伸開業によりそれが不要となり、移動時間は新百合ヶ丘~あざみ野間が現行より20分程度短い10分程度、新百合ヶ丘~新横浜間が現行より8分程度短い27分程度となる見込み。

延伸区間には、既設のあざみ野駅を除いて4駅を設置する計画となっており、3案とも概算事業費は約1690~1760億円とされている。運行は横浜市交通局が第一種鉄道事業者として行ない、地下鉄路線が川崎市にも初めて敷設されることになる。

かつて川崎市には、新百合ヶ丘駅と川崎駅を地下鉄で結ぶ「川崎縦貫高速鉄道」の計画があったが、幾多の紆余曲折を経て、2015年7月には計画休止という形で、事実上断念されていた。今回の事業化決定は、横浜を結ぶ路線ではあるものの、川崎市にとっては地下鉄路線実現の悲願がかなうことになりそうだ。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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