【池原照雄の単眼複眼】今年の新車購入、お得なタイミングは?…消費税増税と自動車税減税が一度に

売れ筋車種では「初の恒久減税」

19年の税負担は3つの期間で異なる

総じて軽自動車は9月まで、登録車は10月以降が買い時に

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売れ筋車種では「初の恒久減税」

2018年の国内新車市場は、前年比0.7%増の527万2067台と2年連続でプラスとなり、かつ500万台ラインを突破した。登録車は1.3%減の334万7943台と、3年ぶりのマイナスになったものの、新車効果が目立った軽自動車が4.4%増の192万4124台と2年連続で増え、全体需要を支えた。明けた19年は10月に消費税増税という波乱要因がある。ただ、登録車(排気量660cc超)に毎年課税される自動車税の減税も同時実施されることから、税負担を考慮すると車種によってお得な買い時が異なり、駆け込み需要や反動減は軽微となりそうだ。

消費税率が10月に8%から10%に引き上げられるのに伴い、自動車税制も大幅に見直される。政府が消費税増税の影響を抑制することや、自動車業界が長年要請してきた車体課税の軽減措置、すなわち自動車税(排気量により年額2万9500円~11万1000円)の減税にも踏み切るからだ。減税額は1000~4500円で、排気量が少ない車種ほど多く減税される。適用は10月以降に購入する新車のみで、現在の保有車両には適用されない。

自動車税は1950(昭和25)年に創設され、80年代半ばまで増税を重ねてきた。減税は、89年の消費税創設の際に排気量が2000ccを超える大きい車種のみに実施されたことがある。2000cc以下の売れ筋車種では前例がなく、「史上初の恒久減税」(日本自動車工業会の豊田章男会長)と業界からは感嘆の声が少なくない。

19年の税負担は3つの期間で異なる

もっとも、年間減税額約1300億円の原資のほとんどは、現行のエコカー減税を19年4月から縮小することなどで捻出される。このため、4月以降の自動車関係税制は次のように、目まぐるしく変わっていく。

・19年4月、5月=エコカー減税の自動車取得税と自動車重量税の減税が縮小
・19年10月=消費税率2%アップ。自動車取得税(2~3%)は廃止され環境性能課税導入(0~2%の軽減税率)
・20年10月=環境性能課税は本則税率の0~3%に。軽自動車税と自動車税のグリーン化特例縮小

19年に新車を購入する場合、税負担は3つの時期で異なってくる。(1)現行のエコカー減税が適用される3月まで(2)エコカー減税が縮小される4~9月(3)消費税増税・自動車取得税廃止・自動車税減税・環境性能課創設の10月以降―というタイミングだ。

総じて軽自動車は9月まで、登録車は10月以降が買い時に

購入する車種のエンジン排気量や環境性能などによって異なるが、10年間の保有を前提とした場合、税負担がもっとも少なくお得となるのは、おおむね現在のエコカー減税が適用される(1)の3月までとなる。その後の(2)と(3)の比較では、軽自動車と登録車でお得なタイミングは分かれる。自動車税が減税される登録車はおおむね(3)の10月以降、逆に軽自動車税(年1万800円)が据え置きとなる軽自動車は(2)の4~9月の方が負担が少なくて済む。

ただし、これら3つの時期での税負担の変動は、そう大きくはない。また、軽自動車については総じて早めの購入がお得となるものの、登録車については自動車税が減税される10月以降が有利となるので、極端な駆け込み需要は発生しない見込みだ。自工会の豊田会長も「自動車税の減税によって、(排気量の小さい)ボリュームゾーンの車種など、消費税引き上げ後の方が負担が減る場合も少なくない。自動車業界としても販売部門を通じてそうした点をもっと訴えていきたい」と、需要の平準化が可能と見ている。

過去に消費税が増税された97年(3%→5%)と 14年(5%→8%)は、いずれも駆け込み需要と、その反動減の影響が大きく出た。だが今回は、自動車税制も同時に見直されたため、販売の乱高下は避けられそうだ。自動車業界では過去の経験から月次の需要変動を想定して備えていく。一方で肝腎の需要動向については「経済的な環境で大きく冷え込むリスクは少ないのではないか」(マツダの青山裕大常務執行役員)といった見方が多い。消費税増を乗り越え、3年連続での500万台到達は固い。

《池原照雄》

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