【池原照雄の単眼複眼】業界悲願の「自動車税」減税が実現…19年10月の消費税増税を機に

ダイハツ・ブーン
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  • 1000cc以下:トヨタ・パッソ

1950年に創設し、80年代半ばまで増税の歴史

与党の税制調査会が12月13日に発表する2019年度税制改正大綱で登録車(排気量660cc超)に毎年課税されている「自動車税」の減税措置が盛り込まれることになった。19年10月に消費税(現行8%)を10%に引き上げるのに伴って行われる自動車関係税制見直しの一環となる。

自動車税は1950(昭和25)年に創設され、80年代半ばまで増税を重ねてきた。減税は、89年の消費税創設の際に排気量が2000ccを超える大きい車種のみ実施されており、2000cc以下の売れ筋車種では初めてとなる。

自家用乗用車の自動車税は、排気量1000cc以下から6000cc超まで、500ccきざみの10段階に区切って以下のように課税している。

排気量:税額(年間)
1000cc以下:2万9500円
1000cc超1500cc以下:3万4500円
1500cc超2000cc以下:3万9500円
2000cc超2500cc以下:4万5000円
2500cc超3000cc以下:5万1000円
(3000cc超~6000cc以下:略)
6000cc超:11万1000円

19年10月の消費税増税の実施に合わせ、自動車税制では「自動車取得税」(車両価格の2~3%)が廃止され、燃費性能に応じた「燃費課税」(車両価格の0~3%)の導入などが行われる。自動車税の減税もこれらと同時に実施され、欧米諸国との比較で過重となっている保有段階での税負担が軽減されることになる。

1000cc以下のコンパクトカーは年4500円の減税へ

ただ、減税額は排気量に応じて1000円から4500円となる見込みで、決して多くない。また、最大の減税幅である4500円は、販売量が少ない排気量1000cc以下のクルマに適用(新税額は2万5000円)となる。さらに、減税は19年10月以降に購入される新車が対象であり、現在の保有車両には適用されない。軽自動車で自動車税に相当する「軽自動車税」(税額1万800円)は、税額が低いことから据え置かれる。

政府・与党は、今回の自動車税の減税財源について、車両購入時に自動車取得税と自動車重量税が軽減あるいは非課税となる「エコカー減税」の対象を厳格に絞り込むことによって、捻出することにしている。このため新車を購入する際は、19年10月を境に、その前後でどちらが「お得」になるかは、クルマの燃費性能や排気量などによって異なってくる。購入のタイミングは、税制の詳細が決まったうえで、自動車販売店などに相談することだ。

一部車種では消費税引き上げまで「買い控え」の動きも?

消費税の増税時には、駆け込み需要が顕在化するのが一般的だが、一部の車種については毎年支払う自動車税の負担が減る19年10月まで「買い控え」の現象が出る可能性もある。ただし、軽自動車税が据え置かれる軽自動車については、エコカー減税が手厚く適用されるうちに購入する動き、つまり「駆け込み」が顕在化するかもしれない。

政府・与党は引き続き20年度以降の自動車関係税制について、走行距離に基づく課税など環境や道路インフラへの負荷に応じた税制の導入についても検討する方向という。こうした関係税制の抜本的な見直しは、自動車産業にとっても歓迎すべきであり、今回の自動車税減税も、日本自動車工業会など業界が目指す車体課税の「簡素化・軽減」の第1歩として評価できる。

《池原照雄》

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