【浦島ライダーの2輪体験記】「ナナハン・ノスタルジー」を払拭するホンダ NC750S

「ナナハン」へのノスタルジーもキレイさっぱり

こりゃあ、教習車として使われるわけだ

邪道だなんて、とんでもない!

ホンダ NC750S
  • ホンダ NC750S
  • ホンダ NC750S
  • ホンダ NC750S
  • ホンダ NC750S
  • ホンダ NC750S
  • ホンダ NC750S
  • ホンダ NC750S
  • ホンダ NC750S

16歳の誕生日と共に原付免許を取り、でも、20代はクルマに夢中。アラサーでリターンライダーになるも、40代は仕事に忙殺される。そしてアラフィフで2輪に再々入門。そんな浦島ライダーが、最新のバイクをチェックしていきます!

「ナナハン」へのノスタルジーもキレイさっぱり

「ナナハン」。一定の年齢以上の人にとって、特別な響きを持つ言葉ではないでしょうか。一般的なライダーは「400ccが実質的な排気量の上限」という時代、長かったですから。

ナナハン。憧れと根性と挫折。青春の輝きとともに、どこか「ワル」な匂いもあって…と、そんな“ちょっと古い”バイク乗りのノスタルジーをキレイさっぱり払拭してくれるモデルが、ホンダ『NC750S』です。

2012年の登場時には700(669cc)だったので、“生粋のナナハン”というわけではないのですが、2年後に晴れてナナハン(745cc)になりました。「いまさら」ではありますが、NC750Sの何に驚くかって、タンクに見える部分が空洞になっていて、荷室として使えること。スクーター並の容量21リッター。こぶりなフルフェイスヘルメットなら入る大きさです。

同様の機構を持ったバイクに、みんな面白がって、感心して、でも買わなかった(泣)スズキ「アクロス」がありましたが、アレ、「スポーツ」の代名詞たるフルカウルなのに「メットインかよ…」という気持ちがどこかにあったと思うんです。

NC750Sも、ボディ左サイドの鍵穴に差し込んだキーを回して、タンク(じゃないけど)上部のフタをパカッと開けるときに、なぜか「ナナハンなのに…」と戸惑ったりします。「これは便利!」と頭では理解しているのですが、どこからか「蛇道だ」という声が聞こえてくるようなこないような…。

こりゃあ、教習車として使われるわけだ


NC750Sに接して最初に感じるのが、「取り回しが意外にラク」ということ。車重218kgと特に軽量ではないけれど、車体が安定しているので、押し引きしていて不安がない。バイクを横から見るとよくわかりますが、ラゲッジスペースに押し出されるカタチで燃料タンクはリアシートの下に移動し、エンジンはびっくりするほど前に倒されている。重量物が天地を低くしてパイプフレームの底に置かれているので、なるほど、安定してるはず。おかげでバイクを押しやすいとは、意外なメリットがあるものです。

シート高は790mm。またがって走り始めると、ネイキッドとしてまさに模範的なライディングポジション。足を自然に曲げたところにステップがあり、うっすらと前傾して腕を軽く伸ばすとグリップがある。こりゃあ、教習車として使われるわけだ。

水冷4ストロークの2気筒エンジンは、最高出力54ps、最大トルク68Nm。スペックだけ聞くと、「えっ!? そんなものなの?」と思う人(含む自分)がいるかもしれませんが、実力は十分。低回転域からトルクが厚くて、力強い。ピークパワーの発生回転数は6250rpm、最大トルクにいたっては4750rpmですから、徹底的に常用域に重点が置かれていることがわかります。スロットルを大きく開ければ、ライダーをその場に置き去りにせんばかりの、強烈な加速を見せる。「ドン!」と腹にこたえるダッシュ力は、気筒あたりの排気量が大きい2気筒エンジンならではです。

シリンダーレイアウトは並列(直列)ですが、ちょっとVツインのようなビートを刻んでライダーを運んで行く。エグゾーストノートは、音量控えめだけど、低音がよく響いて、いい感じ。街なか、高速とも、NC750Sのライドフィールは穏やかで、乗り手を急き立てることがない。それでいて動力性能に十分な余裕があるから、淡々と速い。バイクのハミングを聞きながら気分よく走っていると、「アレッ!? もうこんなトコまで来たの!?」と驚くこともしばしばです。

邪道だなんて、とんでもない!


現行のNC750Sは、2016年に仕様変更を受けたモデル。ヘッドランプやテールランプがLED化され、足まわりが改良されました(フロントに「デュアルベンディングバルブ」採用。リアにプリロード調整機能追加)。

価格は、今回の試乗車だったグラファイトブラック(ツートーン)の6MTモデルが75万7080円、キャンディークロモスフィアレッドが74万0880円。DCTことデュアルクラッチトランスミッションを搭載したモデルが、同じく82万2960円と80万6760円。ナナハンとして大変リーズナブルなうえ、なんとETCとグリップヒーターが標準で装備されます!

NC750Sの2気筒エンジンは、28.3km/リッター(WMTCモード値)と燃費良好。タイヤは、前:120/70ZR17、後:160/60ZR17と一般的なサイズなので、交換時の費用もある程度予想がつく。乗りやすくて、経済的で、便利。ホント、新世代の万能バイクですね。邪道だなんて、とんでもない!

試乗する前は「趣味性が薄いのでは?」と心配しましたが、杞憂でした。まあ、「バイクに乗る」ということ自体、趣味性の塊ですが。NC750Sは、肩肘張らず、気楽にツーリングを楽しめる。ライディングを、余裕を持って堪能できる。それゆえ、バードウォッチ、鉄道撮影、キャンプ、美味しいモノ探し…、そんなバイクを相棒にした趣味やアクティビティも、きっと捗ることでしょう。

革ジャン、リーゼントで突っ張っていたアイツが、すっかりハナシのわかる大人になっていて、なんなら貫禄まで漂わせている…。21世紀のナナハンに乗って、そんなしょうもない感想を抱きました。昭和は遠く、なりにけり。

《ダン・アオキ》

編集部おすすめのニュース

特集