【スーパーフォーミュラ 最終戦】山本尚貴、自力逆転チャンプへ向けて鈴鹿のポールポジションを奪取

ポールポジションを獲得した#16 山本尚貴。
  • ポールポジションを獲得した#16 山本尚貴。
  • ポールポジションを獲得した#16 山本尚貴。
  • 左から予選2位の山下健太、ポールの山本尚貴、3位の中嶋一貴。
  • 予選2位の#4 山下健太。
  • 予選3位の#36 中嶋一貴。
  • 予選4位の#3 キャシディ。
  • 予選5位の#17 塚越広大。
  • 予選6位の#20 平川亮。

27日、スーパーフォーミュラ(SF)最終戦の公式予選が鈴鹿サーキットで行なわれ、鈴鹿を得意コースとする山本尚貴がポールポジションを獲得、自力での逆転王座へ向けて力強い一歩を踏み出した。他の自力王座候補はニック・キャシディが4位、石浦宏明が11位。

午前中のフリー走行時は前夜~朝の雨が残ってウエット路面だった鈴鹿サーキット。しかし、空は曇りから次第に晴れへと転じていき、12時35分にSFの3段階ノックアウト方式予選が始まる段階では完全ドライといえるところまで路面は回復している。

そして現代の鈴鹿マイスターと評していいくらいに鈴鹿を得意とする#16 山本尚貴(TEAM MUGEN/エンジンはホンダ)が、予選バトルを圧倒していった。Q1、Q2、Q3とすべてトップタイムでのポールポジション獲得、Q3ではただひとり1分37秒台に入って(1分37秒909)、後続にコンマ3秒近い差をつけた。これはSFでは小さくないタイム差である。

#16 山本はドライバーズポイントランキング3位での鈴鹿入り。自身5年ぶりの王座に向けて自力逆転の権利を残してはいたが、予選でランク首位の#3 N.キャシディ(KONDO RACING/トヨタ)にポールポジション(ドライバーは1点加算)をもっていかれた場合は自力王座の可能性が消える状況にあった。しかし、自身通算5勝のうち4勝をあげている鈴鹿で、今回も#16 山本はしっかりと速さを発揮してみせた。決勝、このまま勝てば自動的にチャンピオンである。

#16 山本尚貴のコメント
「(特に)緊張した予選でした。金曜の走り始めから順調ではありましたが、結果(金曜の順位)が9番手だったので、『本当に自分の調子が最後に(予選で)上がっていくのか』と考えたりもしましたけど、『大事なのはポールを獲ること』と思うようにしましたし、チームもそう思える環境づくりをしてくれました。(現在のワンメイクマシンである)SF14で走る最後の予選で、タイヤ的にもミディアム(Q1はミディアムのみ使用可)とソフトの両方で1番を獲って終われたことを嬉しく思います」

さらに#16 山本は、「これは誰でもそうですけど、もちろん本当に大事なのは明日の決勝です」と語る。そしてそのあとに続けた言葉には、この一戦にかける彼の気迫が込められていた。「決勝はうまく…いや、決勝も思い切り行って、絶対に勝ちたい、絶対にチャンピオンを獲りたいと思います。そういう気持ちを誰よりも強くもって戦います」。

#16 山本以外の自力王座候補は、#3 キャシディが予選4位、#1 石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING/トヨタ)は予選11位。彼らシリーズランキング上位3人のポイント状況は、#16 山本がポール獲得で1点追加したことにより、#16 山本と#1 石浦が25点で2位タイに並走、首位の#3 キャシディ(29点)をともに4点差で追う形勢となっている(厳密には#16 山本が目下のランク2位)。

確認になるが、上位3人は優勝すれば無条件でチャンピオン。優勝できない場合も、自身とライバルたちの順位次第で王座に就ける可能性がある(当然ながら首位の#3 キャシディは無得点でも王座を獲得できるケースあり)。

また、優勝が最低条件で他力本願ながら王座獲得の可能性を残すランク4位タイの2人は、#20 平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL/トヨタ)が予選6位、#19 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL/トヨタ)は予選17位。

こうして見てくると、予選を終えて、タイトル争いは#16 山本が優位な状況に転じてきたといえよう。順位面もそうだが、それ以上に内容面で#16 山本はライバルにインパクトを与えたと思える。

とはいえ、もちろんレースはどう転ぶか分からない。予選2位に#3 キャシディのチームメイトである#4 山下健太(KONDO RACING/トヨタ)がつけているのは面白いところだ。展開次第では僚友#3 キャシディを前に出す用意もあると話しているし、それ以前にスタートもしくはレースの早い段階で#4 山下が#16 山本に先行して首位を奪取したりすれば、そこで状況が変わってくることもあり得る。

予選3位につけたのは、このカテゴリーの12年&14年チャンピオンにして今年のルマン・ウイナーでもある#36 中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM'S/トヨタ)。今年は最終戦の王座争いに無関係な彼がレース展開のカギを握るかもしれない。

予選5位は、これまた手強い存在の#17 塚越広大(REAL RACING/ホンダ)。今季中に初優勝を達成したい#18 小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG/トヨタ)も予選7位につけた。予選8位はインド出身41歳のベテラン、#64 N.カーティケヤン(TCS NAKAJIMA RACING/ホンダ)。多士済々の顔ぶれ、決勝にどんなドラマが待つかは予断を許さない。

なお、チーム部門タイトル争いについては、キャシディと山下がともに予選上位につけたことから、僅差でシリーズ首位の近藤真彦監督率いるKONDO RACINGが有利といえる状況になってきている。

43周の決勝250kmレースは明日(28日)の14時15分スタート予定。今のところの予報では天候に恵まれそうなので、ソフトとミディアム、両スペックのドライ用タイヤ使用義務のもと、ピット戦略も絡んだSFらしい重厚なレース展開でのチャンピオン争い決着戦になりそうだ。

《遠藤俊幸》

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