パナソニックの「AI活用戦略」人材を1000人に増員…自動車事業など強化

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パナソニックの「AI活用戦略」人材を1000人に増員…自動車事業など強化
  • パナソニックの「AI活用戦略」人材を1000人に増員…自動車事業など強化
  • パナソニック AIソリューションセンターの九津見洋所長

パナソニックは6月22日、AI活用戦略についての説明会を開催した。その中でAIソリューションセンターの九津見洋所長が強調したのは、AIを使いこなせる人材を社内で育成し、住宅家電、自動車、電池の3つの事業を強化するということだ。

「2年前からAI人材育成プログラムを社内で展開して、2020年までにAI人材を1000人にすることを目指している。現在、318人おり、とりあえず18年度中に500人増やしていく計画だ」と九津見所長は話す。

同社はオープンイノベーションや米データ解析会社のアリモ社を買収するなどして、AI技術の獲得を進めている。しかし、いくら良いAI技術を獲得しても、同社のスタッフがその技術を活かして製品に反映できなければ、まさしく猫に小判である。そこで、AI人材育成プログラムを行うことになったわけだ。

そのプログラムは、基礎・応用コース、実戦コース、エキスパート育成・ビジネスプロセスコースの3段階になっている。予想を上回る人気とのことで、17年度目標の220人に対し、318人のAI人材を育成できたという。

そして、そのAI人材を戦略的に注力していく3つの領域に投入していく計画だ。その3つとは住宅家電、自動車、電池事業である。例えば、自動車については、「CASE」を念頭に置き、開発を進めていく。

まずコネクティッドカー(C)については、車向けのセキュリティにフォーカスして車に対する攻撃をAIに検知させる技術の開発を行う。自動運転(A)については、センシング処理と自動制御の両面でディープラーニングを用いた技術開発を進めていく。

カーシェア(S)については、AIを活用した配車管理のビジネスモデルを拡大していく。現在、パナソニックは自社の開発施設に通ってくる人を迎えに行くサービスをすでに導入しており、そのサービスを他の分野にも幅広く展開していく予定だ。

そして、電動化(E)については、電池の利用状態や履歴をAIに学習させて、エネルギーの最適制御や寿命予測に役立てる。「具体的な取り組みはまだまだだが、AIに関して社内相談を募ったところ、電池関連のものが一番多かった」(九津見所長)という。もちろん、電池の材料や製造にもAIを活用し、省エネ、高性能、安価な電池の開発につなげていく。

パナソニックでは、AI活用で5~10年のうちに数百億円の新規事業創出や既存事業の強化を目指していくという。津賀一宏社長時代になって6年、パナソニックは家電からB2Bへと大きく舵を切り、その姿を大きく変えたきた。AIの活用によって、今後さらにその姿が変化していきそうだ。

《山田清志》

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