職業ドライバーへの睡眠点呼、求められる実効性

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睡眠点呼は「事故防止と共に働き方改革を進める観点からも重要」と語る石井国交相(15日・霞が関)
  • 睡眠点呼は「事故防止と共に働き方改革を進める観点からも重要」と語る石井国交相(15日・霞が関)
今年6月1日から道路運送事業の省令などが改正され、トラック・バス・タクシーなどの運送事業者が、ドライバーを乗務させてはいけない事由の1つに「睡眠不足」が追加される。

ドライバーは乗務前に、運行管理者との対面で呼気にアルコールが含まれていないか、免許証を所持しているかなどの点呼を受ける。職業ドライバーの居眠り運転を原因とする事故が発生していることを受けた対策の1つで、点呼では「睡眠不足で安全な運転ができない恐れはないか」を運行管理者が、乗務員に申告を求める。石井啓一国土交通相は15日の会見で、その目的をこう話した。

「今回の改正は居眠り運転に起因する事故を防止すると共に、自動車運送事業者の働き方改革を進める観点からも重要と考えている。運転者の睡眠時間の確保の意識が高まることを期待する」

ただ、この改正は睡眠時間の下限を定めたり、具体的な睡眠時間の申告を運転者に義務付けるものではない。「充分な睡眠は人によって違うので、安全な運転に支障のないレベルであるかどうかを問うもの」(国交省自動車局安全政策課)で、運転者に義務付けられたのは、運転に支障があると思われる場合の事業者への申出だ。ドライバーの就業状態は、走行距離の長短だけでなく、深夜運行する高速バスやタクシーなど多様だ。

健康に関する点呼は、これまでも義務化されている。運行管理者の対面での点呼を基本とするのはそのためで、点呼の場では「今日の体調は万全ですか?」という問いかけや、運転者の顔色を見ることで確認をする。睡眠不足を問うことも、これと同じような形になりそうだ。

自動車局では過労運転防止機器の購入費の2分の1補助も行っている。昨年は衝突軽減ブレーキなどASV(先進安全自動車)やドライブレコーダーなども含めて9億4700万円の予算を確保。睡眠時間を記録するスリープレコーダーやスマートウォッチなどの購入もその対象となった。今年度も制度の継続が予定されている。

「睡眠がどれだけとれているか。その充足度についてバックデータを持っていれば、さらに実効性があるものになる」(前同・安全政策課)と、活用を呼び掛ける。
《中島みなみ》

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