東京地下鉄(東京メトロ)の上野駅(東京都台東区)で進められてきたリニューアル工事が、このほどほぼ完了した。同社は12月14日未明、仮囲いの撤去作業を実施。新しい上野駅の姿を報道陣に公開した。
リニューアル工事は2015年6月に着工。上野には上野の森美術館や国立西洋美術館、東京都美術館などがあることから、駅全体のデザインコンセプトは「美術館のある街」とされた。
銀座線では開業90周年にあわせた全駅のリニューアル工事が進められており、上野駅の銀座線ホーム・コンコースのリニューアルもその一環。デザインコンセプトは「銀座線の歴史にフォーカスした古き良き重厚な造りの美術館空間」とされた。
開業時に使われていた木製回転式改札(ターンスタイル改札)のレプリカを、自動改札機と並べて設置。改札の歴史が分かるようになっている。決められた時刻になると音楽が流れ、ターンスタイル改札の腕木が回転するという。
プラットホームの柱などは、石造りの美術館をイメージしたデザインで装飾された。ホームの壁には開業当時に使われていた電気供給用のレール(第三軌条)やポスターなど、銀座線の歴史にちなんだものが設置された。
一方、日比谷線のコンコース・ホームは「現代的でモダンな美術館空間」をコンセプトにリニューアルされており、銀座線のホーム・コンコースとは印象を大きく変えている。このほか、地上の出入口は3カ所が新型の完全防水型に。扉は上下移動する折り戸タイプになり、大規模水害にも対応できるようにした。
上野駅は1883年、日本鉄道(現在のJR東北本線・高崎線)上野~熊谷間の開業時に設置された駅。その後、東北本線の延伸や信越本線などの開業に伴い、東北・上信越方面のターミナル駅として発展した。1927年には日本初の地下鉄として現在の銀座線浅草~上野間が開業。戦後の1961年には日比谷線も上野駅に乗り入れた。