エコプロ2017の会場内では、自動車メーカーも自社のエコカーや環境保全運動をアピールするブースを展開していた。それらを上回るインパクトで来場者に存在感をアピールしていたのがUPMのコンセプトカーだ。
同社はバイオ産業と森林産業で成り立っている紙素材を提供するフィンランドのメーカーで、クルマの内外装を石油由来の素材から、木質由来のバイオ素材に置き換えて制作したのである。
フロントセクションの構造は鋼管を使ったフレームで作られており、フロア以降のシャーシはCFRP製だが、ボディパネルやダッシュボードはセルロースとプラスチックで構成されたUPM Formiという素材、内装には成形性の高い木材UPM Gradaが使われている。
タイヤにも同社の開発したセルロース由来のポリマー、リグニンが使われており、これはカーボンファイバーや木材の成形に使われるほか、飼料としても使われるほど安全性が高いそうだ。
パワーユニットは1.2リットルのディーゼルエンジンで、燃料もパルプ製造の残留物から精製されたBioVerno(トール油)を使用しており、化石燃料に比べCO2排出量は最大80%も削減できるそうだ。
このBioforeコンセプトカーは2年間の公道走行テストを経て、持続可能な資源により効率化できたことを証明している。同社は年間5000万本もの植林活動も行っており、森林のもつポテンシャルの高さと重要性を訴えている。
我が国も森林産業を見直し、よりモビリティ社会への応用を考えるいい刺激になりそうなコンセプトカーだ。