オンデマンド受注での射出成形や切削による試作、受託製造などを手がけるプロトラブズは12月下旬、神奈川県座間市の新拠点をメディア向けに公開した。今年8月に同県の大和市から移転したもので、床面積を以前の3倍となる9000平方メートルに増床している。
新拠点は日本での本社機能と製造拠点を兼ねるもので、移転に合わせて製造設備を増強。新拠点では切削加工機を35台(CNCマシニングセンター32台、CNC旋盤3台)、射出成形機は55トンから350トンまでの合計11台を備える。これによって年間製造キャパシティは射出成形1500型以上、切削加工45000点以上を確保。これは以前の50パーセント増となる数値だ。
また設備増強に合わせ、樹脂素材の2色成形と硬度の異なる2素材の一体成形、そして切削加工の素材にステンレスを追加するといった新サービスをスタートし、そのサンプル品が展示された。新拠点にはオフィスや顧客とオペレーターがやりとりするカスタマーサービスエリア、製造設備のある工場エリアのほか、金型保管スペースやサーバルームなども備える。
工場エリアでは「工場」という言葉から想像されるイメージとはやや異なった、静かで清潔な空間が広がる。もともと物流センターとして作られた建物を使っているからというわけではなく、換気に気を配り、ダストや油の匂いが広がらないようにしているためだという。また面積にたいして工員の姿が非常に少ないことが印象的だった。
これはICTを駆使した統合システム「デジタルマニュファクチャリングシステム」の恩恵とのこと。顧客の問い合わせにたいする見積もりや形状解析、設計から製造管理といったすべてのプロセスをクラスターコンピュータの独自ソフトで一元的に管理。柔軟で小回りのきく生産体制によって、素早い対応が可能になっている。ちなみに現在の顧客数は約2200社という。
工場エリアは、製造能力を以前から50パーセント高めているにもかかわらず、さらなる拡張の余地を持たせていることが目を引く。社長のトーマス・パン氏によれば、2017年以降は樹脂の粉体造形や光造形、ダイレクトメタル(金属粉末焼結)といった3Dプリントのビジネスを強化してゆく予定とのこと。