【INDYCAR 第13戦】パジェノーが今季4勝目…琢磨は終盤の不運で4位失う

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優勝した#22 パジェノー。
  • 優勝した#22 パジェノー。
  • 左から2位パワー、優勝パジェノー、3位ムニョス。
  • 優勝の#22 パジェノーは、ポールポジションからのスタートだった。
  • 今季4勝目、タイトル争いでも首位を走っているパジェノー。
  • #14 佐藤琢磨は終盤のアクシデントで4位を失い、9位でのゴールに。
  • ファンの声援に応える佐藤琢磨。
  • 決勝2位の#12 パワー。
  • 決勝3位の#26ムニョス(写真先頭)。その後ろ、#14 琢磨が4位を走っていたのだが、不運に見舞われ9位。

現地7月31日、インディカー・シリーズ第13戦の決勝レースが米オハイオ州の「ミッドオハイオ・スポーツカーコース」で行なわれ、シモン・パジェノーが今季4勝目を挙げた。佐藤琢磨は終盤のアクシデントで4位を失い、最終結果9位。

今回の舞台は常設ロードコースのミッドオハイオ。決勝レースは90周で争われるが、燃費的な最大航続距離は28周くらいとされる。つまり2ストップで走り切るのはほぼ無理で、3ストップ作戦が基本となるわけだが、周回数の切り方には多彩な戦略的判断が可能なのだ。

実際、今回のレースではアクシデントによるフルコースコーション(全車隊列スロー走行)と戦略判断の絡みが大きく2回、戦局を左右した。最初は、序盤15周目頃のフルコースコーション。この直前に最初のピットインをしていた面々は展開の利を得て大きくジャンプアップすることに成功するのだが、そのなかに佐藤琢磨(#14 AJ.Foyt Racing/エンジンはホンダ)がいた。予選は20位という厳しい結果だったが、ここでシングル順位圏内へと浮上し、以後は上位での戦いを演じていくことになる。

さらに終盤、残り30周を切った頃のフルコースコーションがレースをほぼ“リセット”する働きを演じた。この周回数でのフルコースコーションは燃費的に考えて、それまで様々なピット戦略で走ってきたマシンたちがほぼ全車ここで最終ピットインしてあとはゴールまでコース上での争いに、という状況を指し示すからだ。

この局面で悲運だったのは、序盤のフルコースコーションで上位に進出し、ここまで先頭を走っていたミハイル・アレシン(#7 Schmidt Peterson Motorsports/ホンダ)。彼はピットロードで他車と接触、大きく順位を下げてしまう(最終結果17位)。逆にここでピットインしない作戦で暫定首位に躍り出たのはコナー・デイリー(#18 Dale Coyne Racing/ホンダ)。この後もフルコースコーションが続出すれば、彼は燃費的に恵まれて逃げ切れた可能性もあった。だが、結果的にそうはならず、デイリーは最終結果6位となる。

いろいろあったレースだが、結局優勝を争ったのは現在シリーズ1-2位のチームペンスキー勢のふたりだった。シモン・パジェノー(#22 Team Penske/シボレー)と、ウィル・パワー(#12 Team Penske/シボレー)。ポール発進のパジェノーは途中、ほぼ同じ戦略で走るパワーに先行を許していたが、残り25周でのレース再開時にパワーを激しいバトルの末に下して実質首位を奪還、今季4勝目を獲得した。

両雄がともに「いいバトルだった」と振り返る接戦だったが、勝ったパジェノーは「あのリスタートが(逆転の)チャンスだということは分かっていた。その時が来た、という思いだった」と語り、チームに感謝しつつ、激闘を制しての勝利を喜んだ。敗れたパワーは「あれがレースというものさ。タフだったね」と、再戦での逆襲を期すことに。

優勝パジェノー、2位パワーで、両者のポイント差は58に開いた(通常優勝50点)。中断延期中の第9戦を含めて残り実質4戦、初王座目指すパジェノーが、一昨年の王者である僚友パワーから逃げ切れるかどうか、注目である。

琢磨はレース後半、主に5番手近辺で戦い、終盤は4位を走っていたのだが、残り数周というところで、追ってきたセバスチャン・ブルデー(#11 KVSH Racing/シボレー)に追突される格好でコースオフ。なんとかコース復帰は果たすが、9位にポジションを落としてのゴールとなった(ブルデーはストップ、最終結果20位)。

佐藤琢磨のコメント
「チームが素晴らしい力を発揮してくれたと思います。戦略が的確でした。序盤のかなり早い段階でのピットストップでしたが、すぐ後にいいタイミングでフルコースコーションにもなってくれましたしね。あれで大幅にポジションを上げられ、そこからゴールまでは本当に激しいバトルが続きました」

「すべてのラップを予選アタックのように走りました。クルーたちのピット作業も、最後の一番重要なそれがとても速かったので、それからも4番手争いを続けることができました。しかし最後に不運な事態になりました。自分はラインを保っていたのですが、すぐ後ろを走っていたドライバーがブレーキングで追突してきたんです」

「コースアウトしながらも、どうにか走り続けてコースに戻り、9位という結果を拾い上げられました。ゴールできたことはよかったと思います。でも、4位はほぼ確実な状況だったのですから、9位は悔しい結果ですね」

琢磨にとってはアップダウン激しいミッドオハイオ戦だったが、不運があっても前戦(5位)に続くシングル順位でフィニッシュしたのだから、シリーズ終盤に向けて流れはわるくないものと考えたいところだ。

決勝3位はホンダ勢最上位のカルロス・ムニョス(#26 Andretti Autosport)。4~6位もホンダ勢で、4位グレアム・レイホール(#15 Rahal Letterman Lanigan Racing)、5位ジェームズ・ヒンチクリフ(#5 Schmidt Peterson Motorsports)、6位デイリーという順位だった。

次戦第14戦は8月21日決勝の日程で、ペンシルベニア州の三角オーバルコース「ポコノ・レースウェイ」で開催される。

《遠藤俊幸》

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