就活のため証明写真をばっちり修正、これって虚偽記載罪?

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弁護士 篠田恵里香氏(東京弁護士会所属)
  • 弁護士 篠田恵里香氏(東京弁護士会所属)

 企業にエントリーシート(ES)や履歴書を提出する際、忘れてはいけない就活証明写真。最近ではきれいな仕上がりに修正してくれる写真館も多く、気になる部分は思いのままに調整できることも。

 しかし、本人とはかけ離れた出来に修正された写真で就活を行うことは罪に問われないのだろうか。また、法律の観点では写真の修正はどの程度許されるものか、アディーレ法律事務所の篠田恵里香弁護士に聞いた。

修正で美男・美女に仕上げた写真…詐欺写真を提出したら罪になる?

 エントリーシートや履歴書に虚偽の記載をした場合、これを直接罰する法律はありません。したがって、「履歴書虚偽記載罪」などといった犯罪は成立しないことになります。

 しかしながら、履歴書は企業にとって「その人を採用すべきか否か」「入社後にどのような働きを期待するか」の検討にあたり非常に重要なものといえます。したがって、学歴・資格・年齢など、詐称した内容によっては、内定取り消しや解雇理由の一事情とされる可能性がないわけではありません。

 本人とはかけ離れた容貌の写真を履歴書に添付した場合、企業による懲戒処分などの対象となるかについては、基本的には、容貌により仕事の結果が左右されるとは想定されないため、難しいといえるでしょう。

 ただ、写真をあまりに修正しすぎる行為は、初対面の面接官に対し、「ずいぶん修正してあるな」という印象を与え、かえってイメージ低下につながる可能性があります。この意味で、「履歴書に修正した写真を貼る」にしても、少し小奇麗に印象がよく映る程度の修正にとどめ、「本人か?」と眉をしかめられるような修正は絶対に避けたほうが良いといえるでしょう。

◆詐欺写真を提出したことによる不採用は認められるのか

 基本的に、履歴書に写真を載せる意味は、本人との同一性やどんな印象を与える人物か、などを確認するためのものといえます。したがって、印象が特に重視される営業職や受付係といった仕事で、明らかに本人とはまったく異なる写真を添付したということになれば、面接の際に「ずいぶん印象が違うな」ということを理由に不合格になる可能性はあります。

 少なからず、修正しすぎの写真を添付するという行為には「ごまかす」「だます」といった気持ちがまったくなかったわけではない以上、これをもってその人の人間性・人格を判断する際の一材料とされる可能性はあります。

 本来採用されるべき人格を備えた方であれば、写真の修正という理由のみを持って不合格・内定取り消しなどの事態に至ることは考え難いですが、やはり「修正しすぎかな?」と自分でも感じるような場合は、ほどほどの修正にとどめておいた方がいいでしょう。

 第一印象を良くしたいという気持ちはわかりますが、あまりに修正した写真では、本人の写真としての意味を失う可能性もあり、少なくとも、面接官の印象に響く可能性があります。いずれにせよ、「これが私です」と自分の容貌について自信を持ってアピールする姿勢も大事と言えるでしょう。
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篠田恵里香(弁護士)
 東京弁護士会所属。外資系ホテル勤務を経て、新司法試験に合格。債務整理をはじめ、男女トラブル、交通事故問題などを得意分野として多く扱う。夫婦カウンセラー(JADP認定)資格保有。独自に考案した勉強法をまとめた「ふつうのOLだった私が2年で弁護士になれた夢がかなう勉強法」(あさ出版)の執筆ほか、「Kis-My-Ft2 presentsOLくらぶ」(テレビ朝日)などメディア出演も多い。

協力:アディーレ法律事務所

就活証明写真の修正、許されるのはどこまで? 弁護士がアドバイス

《編集部》

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