「未熟ではなく、不慣れな運転」…軽井沢スキーバス転落事故で、日本交通事故鑑識研究所

自動車 社会 社会
日本交通事故鑑識研究所 大慈弥拓也社長
  • 日本交通事故鑑識研究所 大慈弥拓也社長
  • 映像をデジタル化して車両の軌跡を推定する日本交通事故鑑定研究所

「未熟ではなく、不慣れな運転」…軽井沢スキーバス転落事故で、日本交通事故鑑識研究所

「フットブレーキを踏むと危ない。運転手はそう思ったのかもしれない」。

日本交通事故鑑識研究所の大慈彌拓也社長は、15日に起きた長野県軽井沢町のスキーバス転落15人死亡事故で原因について、ブレーキの跡が路面に残っていないことなどから、そう語った。

事故現場は峠を越えて下り坂に差し掛かったところで、フットブレーキの使い過ぎで効かなくなるべーパーロック現象が起きるには早過ぎる。

「事故の最大の要因は、けして運転手が運転に未熟ではなく、事故車両に不慣れだったことによるものだと考えます」。

バスの運転という意味では、運転手は経験豊富だった。しかし、事故を起こした大型バスの運転は、バス会社のイーエスピーに入社して数回しか経験がない。

「高速道路も一般道の登坂も過ぎて緊張も緩み、漫然運転をしていたところ、スピードが予想以上に出てしまった。未熟な運転手なら迷わずフットブレーキを使うところだが、カーブでフットブレーキを使うことが危険だということは体験としてしみついている。ハンドル操作と、排気ブレーキ、エンジンブレーキでやり過ごそうとしたプロドライバーならでは判断が、悲惨な結果を招いた」。

事故を後押しした原因は、ほかにもあると考えられるという。

「雪道走行のためのスタッドレスタイヤは、その柔らかさが車体の揺れを増幅させる。事故を回避しようと思った時には一種のパニックで、回避操作は厳しかったのではないか」。

一瞬の油断、事故の直接要因はヒューマンエラーに尽きるのだろうか。

《中島みなみ》

【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース