鉄道関連のデザイナーが一堂に集結…レイルウェイ デザイナーズ イブニングが開催される

鉄道 企業動向
木村一男氏(左)と松本哲夫氏
  • 木村一男氏(左)と松本哲夫氏
  • トークセッション風景。会場は満席となった
  • 挨拶する南井健治氏
  • 懇親会風景
  • 鉄道技術展の会場風景
  • 鉄道技術展の会場風景
11月中旬に幕張メッセ(千葉県)で開催された『第4回・鉄道技術展』。その会期中に関連イベントとして『レイルウェイ デザイナーズ イブニング』が開催された。これは車両や駅のサイン計画などをはじめ、鉄道事業におけるさまざまなデザインに携わる人のミーティングだ。

主催はレイルウェイ デザイナーズ イブニング実行委員会で、今回が初開催となる。鉄道をキーにした様々な分野のデザイナーが集結することで、互いの領域を越えた情報交換を盛んにし、引いては鉄道関連デザインの向上に寄与することが目的。イベントは2部構成で、第1部はベテランデザイナーによるトークセッション、第2部は懇親会となっていた。

トークセッションでは、昭和時代に国鉄の車両デザインに関わって以来、さまざまな事例を手がけてきた2名が登壇。満席となった会場で、木村一男氏(現・名古屋学芸大学教授)と松本哲夫氏(現・剣持デザイン研究所代表取締役)が、ときに思い出話を交えながら、デザインの役割について語った。

昨今の日本の鉄道デザインについて、ざっくばらんな意見を…と水を向けられると、ふたりともやや厳しい指摘。「いろいろな方がデザインを手がけているのはすごくいいと思う。でもスタイリングやカラーリングなど、形から入ってくるのは少し違うんじゃないかと感じる」と松本氏。「見た目の形だけじゃなくて、鉄道事業者の経営方針まで考えてデザイン作業をスタートさせるというのが、僕たちのやってきたこと」とのことだ。

木村氏も「鉄道業界はデザイン花盛り、という感じはする。企業も社会も、それにユーザー(乗客)もデザインというものに大きな関心を持つようになっていて、それは素晴らしいことだと思っている」としながらも、「デザインというのはけっして形や色や模様ということだけではない。その前にあるものをいかにクリエイトしていくのか、チャレンジしていくのかということが大事」と続ける。

「その前にあるもの」とは、経営方針や事業計画、そしてそれに基づく路線や車両のコンセプトを指すようだ。「経営やサービス、運営やオペレーションといった大きな部分からデザインを見直し、本当の意味でのデザインの力を発揮できる状態に持っていけるといい。そのためにはもっともっとデザインの力を蓄えていかなければならない。鉄道という大きなシステムの中で、デザインが果たさなければいけない役割というのはまだまだたくさんある」と木村氏。

鉄道におけるデザインを最終的に享受するのは一般の乗客となる。そこで一般社会と鉄道デザイナーの関わりについて問われると「車両メーカーの要望に基づいてなにかをやったという記憶はあまりない。僕らだって、運賃を支払って利用するユーザーの立場。だから乗客が快適に過ごせる空間はどんなものか、という考え方をしていた」と松本氏。

木村氏も、人間の立ち位置を忘れてはいけない、とする。「使用者や利用者の立場で考えることが必要。エンジニアはエンジニアの、経営者には経営者の視点がある。それぞれの立場からさまざまな要求が出てくる中で、デザイナーはどういう視点でデザインに取り組めばよいか。あくまで乗客が安全に快適に、よりスムーズに移動できるということを考慮する、それがデザイナーの役割ではないかと思っている」という。

また乗客に限らず沿線地域の環境や、地域住民への気配りもデザインしなければならない、という意見も出された。「たとえば高速鉄道のトンネル微気圧波の問題はいまだ解決できていない。車両をデザインする際には、地上設備の工夫には限界があるから車両側でなんとかしてくれとよく言われる。しかし地域にとって大きな問題なのだから、設備も技術だけじゃなくてデザインの力で解決を目指さなければ」と松本氏。

木村氏はかつてデンマーク国鉄を視察した際の経験をもとに、日本の鉄道デザインはまだまだ立ち後れていることを指摘した。ある路線を電化するとき、沿線地域の景観を保つために架線柱や碍子までもがデザイン検討の対象となっていたことが印象的だったという。「デンマークは家具や照明などをはじめとして、デザインを国の誇りにしている。それにふさわしい、負けない鉄道にしなければいけないということでやっている」とデザイン担当者が語っていたそうだ。

「そういう目で見ると日本はまだまだ及ばない。鉄道事業というのはデザインの塊のようなもの。車両は重要な要素だけれども、それだけでなく駅やサイン、設備、沿線環境などすみずみまでデザイン視点で作り上げていくことができたら、社会や国にとっても大きなパワーとなる」と結んだ。

続く第2部は懇親会。このイベントの実行委員長として実現に奔走した、近畿車輛技術本部・設計室長の南井健治氏による乾杯の音頭でスタート。車両メーカーのデザイナーやエンジニアをはじめデザイン会社、フリーランスのデザイナーなどが活発な交流を展開。鉄道業界ではこれまでデザイン関係者たちが企業や部署の壁を越えて集まれる機会がなかったことから、参加者からはイベントの継続的な開催と発展を望む声が多く聞かれた。
《古庄 速人》

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