【トヨタ プリウス 新型】徹底的な低重心がもたらす新型の進化とは?…新旧パッケージング比較 キャビン編

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トヨタ プリウス プロトタイプ
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  • 新型プリウス カウル、ショルダーライン、シート位置ともに約60mm下がった
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  • 新型プリウス HVバッテリーが後席下に移動

4代目となる新型プリウスは最高40km/リットルという驚異の燃費性能に注目が集まっている。 

しかしクルマの基本となるパッケージングにもこれまでにない手法が取り入れられ、結果的に走りの資質(乗り心地、操安性)に好影響をもたらしている点も見逃せないポイントだ。

新型プリウスはTNGA(トヨタニューグローバルアーキテクチャー)による新プラットフォームを採用する。ボディーサイズは全長4540×全幅1760×全高1470mm。ホイールベース2700mm。つまり先代より全長は40mm拡大され、全幅の拡大はわずかで、ホイールベースはそのままと、日本の路上でも扱いやすいサイズを維持している。ここでの注目点は全高。先代より20mm低まっているところだ(重心高も同様)。

これは新型のハイライトのひとつと言える低重心化に大きくかかわり、フロアはもちろん、前後席の乗員の着座位置、ノーズの高さ(-70mm!)リヤスポイラーの位置(-55mm)まで低められている。最低地上高もまた先代より10mm低いのである。

重心高が低くなればサスペンションセッティングの自由度が高まり、先代の要改良点と思えた操安性や乗り心地面でのメリットもまた大きくなるというわけだ。

具体的には先代に対して前席着座地上高は約60mmも下がり、フロアに対しても29mm下がっている(後席も30mm下がっている)。しかし同時にフロントカウルとショルダーラインも60mm下げたため、視界や解放感への悪影響はない。前席からワイパーが見えないような処理も施されている。前席の頭上スペースは全高が20mm低まったにもかかわらず、着座位置を低めたため、先代よりメーカーデータ的には21mm拡大されている(室内高は-30mm)。

ヒール段差(フロアからシート座面先端までの高さ)は実測で先代が前席約300mm、新型約270mm、後席は先代約360mm、新型約340mm。アップライト気味だった先代より低めかつより自然なドライビングポジション、着座姿勢が取れるようになったのが見どころ。結果、セダンライクな落ち着き感ある着座感が得られ、同時に乗員上半身の無駄な動きが抑えられるため、肩、首の疲れにくさにも好影響をもたらすはずだ。

先代と大きく違うのは、前後席の人の座らせ方。先代は前席に対して後席は+2mmの高さでしかなく、沈み込んだ着座感となっていた。が、新型の後席は前席より35mm高くセット。いわゆるシアターレイアウトになり、後席の前方見晴らし性は劇的に向上している。ただ、小柄な人だと、前席シートバックが先代より20mm高くなっているため、前席の真後ろに着座するとヘッドレスト部分が壁のように感じるかもしれない。

室内長はスペック上では205mm拡大されているが、それはインパネデザインなどが影響するからあまりあてにならない。実際には後席の頭上方向、ひざ回り方向の寸法は先代とまったくいっしょ。身長172cmのボクのドライビングポジション基準で後席に着座すると、頭上に110mm、ひざ回りに230mmというゆとりあるスペースがそのまま維持されている。

全長が60mm拡大したのになぜ? という疑問がでてくるかもしれないが、実はその延長分は前後オーバーハングにそれぞれ25/35mmずつ振り分けられていて、拡大分はキャビン長には含まれていないのである。

後席でちょっと残念なのは、先代のようなフラットフロアでなくなったこと。フロアを低めたことで、低めの凸が出現し、足元の広々感はやや後退したように感じる。

それでも、新型プリウスの低重心パッケージは先代の不満点だった乗り心地や操縦安定性改善に大きく寄与していることは、実際に走って強く実感できた。

《青山尚暉》

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