「フレンチ・ラグジュアリー」をキーワードに、クルマの新たな価値とフランス車ならではの伝統を受継ぐDS。3ブランド体制となったPSA(プジョー・シトロエン・グループ)が、DSブランドで表現しようとする個性、メッセージとは。
フランクフルトモーターショー15の会場で、デザインチーフを務めるティエリー・メトロス氏に話を聞いた。
----:「DS」がシトロエンブランドから独立し、PSAとしては3ブランド体制となりました。あらためてDSがめざすクルマづくり、発信していくメッセージというものについて教えて下さい。
ティエリー・メトロス氏:3つのブランドはすでにそれぞれ異なったポジションにあり、それぞれのストーリーを紡いでいます。これからも各ブランドの違いを強く打ち出してゆくことになります。
DSは独立したブランドとしてスタートしたばかりですが、すでに明確なデザイン言語を持っています。2012年の時点でデザイン戦略がしっかり定義されていますので、ブランドの価値観やルール、アイデンティティも確立しているのです。
これからもそれに従い、表現するデザインをしてゆくことに変わりはありません。プジョーもシトロエンも、それぞれのデザインには強力な個性とメッセージがありますからね。
技術的なキーポイントはインテリアにあります。さまざまな機能がひとつのシステムに統合され、ほとんどの操作は画面上でおこなうようになるでしょう。こうなると従来のような、単機能のボタンやレバーなどは必要ありません。そうしたスイッチは最小限になり、ドライバーはスクリーンをタッチしたり、ダイヤルで画面を操作することになります。
つまり新しい技術はインテリアを、よりシンプルで軽快なものにします。ですから積極的に取り入れ、スイッチを可能な限り減らして簡素さを追求する方向になってゆくでしょう。そしてこれはDSにとって、素晴らしい素材や洒落た意匠を際立たせることに大きく寄与するはずです。
またメカニズムがシンプルになれば空間にも余裕が生まれ、ゆったりしたインテリアを実現します。そしてその余裕もまたさまざまな素材の活用や、さまざまな表現可能性を追求することに貢献するでしょう。