二輪車のユーザー負担とは何か...軽自動車増税前に再び議論

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公明党制調査会会長で、同オートバイ議員懇話会副会長の・斎藤鉄夫代議士(中央)
  • 公明党制調査会会長で、同オートバイ議員懇話会副会長の・斎藤鉄夫代議士(中央)
  • 東京・南青山のホンダ本社ショールーム(参考画像)

排気量50cc以下のバイクを含む二輪車の軽自動車税が、16年4月1日から最大2倍に引き上げられる。この増税を前に昨年12月30日に結ばれた自民党と公明党の覚書が再び議論されようとしている。

自民党と公明党の税制調査会長名で覚書は交わされた。税制大綱に付随するものとして口頭で交わされた内容は以下のようなものだ。

「両党の税調会長の覚書として、二輪車のユーザーの負担について今後総合的に検討する」

公明党の斎藤鉄夫会長は、10月21日の公明党オートバイ議員懇話会で、昨年の税制大綱の決着の様子をこう話した。斉藤氏は同党税制調査会の会長であり、懇話会の副会長でもある。

「昨年の与党税制大綱をまとめるときに、最後の最後の最後まで問題として残って、自民党と公明党で意見が一致しなかったのは二輪車の増税の問題です」

もともと軽自動車税の増税には異論が多かったが、特に二輪車は車両管理制度の不備が原因で、地方自治体は新たに購入される車両と使用過程車の区別をつけることができなかった。そのため四輪車の増税は今年4月1日移行に購入された新車からとされたが、二輪車は区別なく全車両が増税の対象となった。

「二輪車についてはすでに使われているものを含めて増税する。この不公平をどうするのか(中略)最終的に難しいということで、1年増税を延期するということで決着した」

この時に結ばれたのが、冒頭の覚書だった。しかし、その内容が具体的になっていない。一案として自賠責保険(自動車賠償責任保険)の保険料の一部を二輪車ユーザーに還元するという話もあったが、保険料を税金の負担に振り向けることができるのかという課題は、当初からあった。

また、軽自動車税は市町村税のため圧倒的に不足している二輪車駐車場の整備に振り向けるべきという意見もあったが、総務省は軽自動車税は目的税ではないため、使途は地方自治体の判断という見解。積極的に駐車場整備を進めようとする姿勢に欠けている。業界関係者は、こう話す。

「二輪車の『ユーザーの負担』とは何か。何を『総合的に検討する』のか。そのすべてが未知数。まずはユーザーと業界が具体案を示さなければ覚書もなかったことになる」

日本自動車工業会や全国オートバイ協同組合連合会から要望を受けた斎藤氏は、こう受けた。

「最終的に負担軽減策がまとまっていないが、こういう形でご要望をいただいたので、実現に向けて全力をあげていきたい」

二輪車ユーザー負担はどう考慮されるのか。年末には明らかになる。

《中島みなみ》

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