マレーシア国内企業の多く、事業拡張計画保留の動き

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マレーシアの首都クアラルンプール(イメージ)
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マレーシアのビジネス界では米ドル市場でのリンギレートの下落や世界経済の先行き不透明感の高まりを受け不安感が広まっており、多くの企業が事業拡張計画を保留とする動きが見られている。リンギは今年19%の下落を記録している。

銀行関係者が英字紙「ザ・スター」に明らかにしたところよると新規のビジネスローン申請件数は8月半ばにリンギが1米ドル=4リンギに達し更に下落したことから大きく減少している。企業からの融資申請は民間セクターの成長の指標の1つとなっている。中国経済の減速や世界経済の先行き不透明感も影響しているという。多くの企業が様子見のスタンスを崩しておらず、世界経済の今後の先行きを注視しており、大型投資などは控える傾向にあるという。

中央銀行バンク・ネガラが発表したデータによると、7月の融資は前年同月比9.9%増加しており、6月の8.7%増と比べて好調だった。非住宅不動産の購入に伴うローンや企業の運転資金、建設産業向けローンが貢献したという。企業向けローンの申請も7月には11.4%増加した。一方銀行関係者は、今後数カ月で融資申請件数は落ち込むと予想。今後世界経済の見通しが明るくなった場合は再度回復するとの予想を示した。

マレーシア製造業者連盟(FMM)は、リンギ安によりゴム手袋業者や半導体セクターなどの輸出業者には恩恵があると予想。その中でも国内で原料を調達している企業が大きな恩恵を受けるとの考えを示した。石油価格の下落に伴い原料価格も下がっているケースも多いが、電気料金や雇用コストが上昇していることから手放しで喜ぶことはできないという。

マレーシア中小企業(SME)協会によると、輸出関連のSMEは恩恵を受けているが、外国のバイヤーが割引を求めるケースもあるという。一方、マレーシア建設業者協会(MBAM)によると、リンギ下落により、下落前に受注したプロジェクトのコストが上昇するなどの影響が出ている。建設業界の競争は激しく、リンギ安により受注競争など更に競争激化が懸念されている。
(ザ・スター、9月10日)
千田真理子