科学技術館では8月8日から、日本の産業技術の50年を振り返る夏休み特別展「くらしの技術 50年 大・展望展」を開催している。自動車産業にも焦点が当てられているほか、展示テーマに沿った貴重な工業製品も展示され、年配者から子供まで幅広い層が楽しめる内容だ。
この特別展は、1964年に開館した科学技術館の50周年に合わせて企画。主旨は「50年間の産業技術の変遷を社会・文化との関わりの中で振り返ることで、日本の産業技術や社会・文化が、いまどこにいるのか、これからどこに進もうとしているのかを、来館者をはじめとした多くの皆さんとともに考える」というもの。
会場は6つの展示ゾーンに分けられ、それぞれ「50年の冒険者たち」、「クルマの都」、「木もれびキッチン」、「テレコミ湖」、「レジンの館」、「だいてんぼう広場」と名づけられている。
「50年の冒険者たち」はプロローグ的な展示で、およそ半世紀の歴史を持つ企業や商品の「これまで」と「これから」を紹介。新幹線、リカちゃん、カップヌードル、ブルーバックスなどの初期と現在を比較して見ることができる。
「クルマの都」にはホンダRA272やスバル360をはじめとした車両だけでなく、さまざまなメーカーのエンジンやEVメカニズム、CVT原理モデルや特殊車両のタイヤなどが並ぶ。「木もれびキッチン」では食に関する加工と保存の技術を紹介。実際の植物工場のメカニズムも見ることができる。
「テレコミ湖」はテレコミュニケーション(情報通信)に関する展示。電話や電送装置、通信ケーブルなどの歴史から、IoTを駆使した最新デバイスやコンセプトモデルも展示。最新スマートフォンに備わる機能を、旧来のプロダクトを並べて表現したテーブルは圧巻だ。
「レジンの館」はプラスチックに焦点を当て、その技術の歩みを紹介。新旧の『アーム筆入れ』や『My First Sony』など、工業デザイン史に残るプロダクトも展示されている。またさまざまな樹脂素材の使い方や射出成形やブロー成形、真空成形といった成形方法を金型とともに紹介。「だいてんぼう広場」は実演やワークショップ、トークイベントを開催するスペース。
どのゾーンでも、過去から現在にいたるさまざまな時代の製品があり、親子3世代で楽しめるものになっている。説明には専門的な語句も多く、ただ見るだけでは小さな子供が理解することは難しいかもしれない。しかしそうした場面で、子や孫にやさしく語って技術にたいする興味を喚起することが伝承となり、未来の可能性を拡げるのだろう。
「大・展望展 」は科学技術館(東京・北の丸公園)の1階展示・イベントホールで8月30日まで開催。会期中は無休。