高速道路民営化効果の検証結果を公表、コスト7400億円カット…GS空白区間解消などが課題

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高速道路(イメージ)
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国土交通省は、民営化後10年を迎えた高速道路機構・会社の業務点検を実施し、これまでの成果・課題や今後必要な取組みについてまとめた。

業務点検結果は、高速道路機構と各高速道路会社が自ら業務点検を実施するとともに、第三者から意見を頂くために、「高速道路機構・会社の業務点検検討会」を設置し、高速道路機構・会社からのヒアリングなどをもとに、様々な意見を収集してとりまとめたもの。

それによると、民営化後の成果としては民営化時に37兆4000億円あった有利子債務は、2014年度期首に29兆3000億円にまで削減できた。

新東名・御殿場~浜松いなさJCTで開通を約12カ月前倒ししたほか、北関東道・真岡IC~桜川筑西ICで開通を約11.5カ月前倒しするなど、民営化後、開通まで平均4カ月前倒しした。コストについても、合計約7400億円縮減した。これらは民営化による機動性や柔軟性の効果としている。

SAやPAには、コンビニやカフェ、フードコート、洗浄機能付トイレ、宿泊施設など、店舗の多様化と施設充実などサービスを拡充したとしている。SA・PAの売上高は民営化時約4000億円だったが、2014年に約4900億円となった。

また、民営化後10年の間に、東日本大震災、大雪などの災害や笹子トンネル天井板落下事故、高齢者の逆走事故などが発生した。安全・安心なサービスを提供するため、老朽化対策、頻発化する大規模災害や事故への対応強化が必要としている。

民営化によって、これまで着実な成果をあげてきた基本的な枠組みについては、当面継続する必要があるとした。民営化後、重大な災害や事故の発生による、国民の安全・安心な通行を確保する意識の高まりを踏まえ、高速道路機構・会社は、社会的な役割を果たしていく必要があり、今後、民営化の目的に加え、こうした民営化時には明示されていなかった役割についても適切に対応していく必要があるとしている。

一方、今後必要な取り組みとしてガソリン空白区間の解消などを指摘する。自動車の燃費向上やガソリン需要の減少による経営環境の悪化によりガソリンスタンドが減少し、ガソリンスタンド間の距離が100km以上の区間が83区間も存在する。このため、NEXCO西日本では、今年4月から「路外給油サービス社会実験」を開始している。

安全な走行に必要なサービス水準を確保するため、路外ガソリンスタンドの活用などにより、空白区間の解消に積極的に取り組む必要があるとしている。

このほか、株式上場については「債務が大きく、高速道路ネットワークも建設中であること、より安全・安心な通行の確保が求められていることを踏まえ、会社の経営状況などを慎重に見極めていく必要がある」と、慎重な姿勢だ。

《レスポンス編集部》

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