ブドウ「巨峰」、ジンジャーエール、バニラアイス――。ジュース感覚で飲める豆乳飲料の商品化が相次いでいる。独特な味のある豆乳を、「まず知ってもらいたい」と、飲まず嫌いな消費者の需要を掘り起こす。積極的に販売するスーパーも増えており、日本豆乳協会は「さまざまな味の商品がスーパーの売り場に並ぶことで、興味を引きやすくなっている」と期待を寄せる。
大手豆乳メーカーのキッコーマン飲料は、現在35種類の豆乳飲料を取り扱う。イチゴやメロンなどの果汁を使ったものから、杏仁豆腐や甘酒など加工食品のフレーバー(香り)まで幅広い種類を販売する。
同社によると、豆乳を購入するのは主に40~50代が中心。「将来の消費者になってもらうため、入門編としてさまざまな味を用意している」という。新しい味を販売すること自体は飲料メーカーとしてはよくある取り組みだが、いずれもレギュラー商品として定着させるのは珍しい。「どの味も安定して売れる。それだけ豆乳自体の消費が伸びているのでは」と説明する。
特産品を使って、味のバリエーションを広げる取り組みもある。JA全農ふくれんの子会社、ふくれん(朝倉市)は、これまでに特産品のイチゴ「あまおう」やイチジク「とよみつひめ」など、特産品を使い5種類の豆乳飲料を販売。人気商品で都内のスーパーでの取り扱いも多い。「豆乳自体の消費も増やしながら、特産品のファンも増やせる」と手応えを話す。
関東で店舗展開するスーパー、いなげや(東京都立川市)は豆乳の棚を広げ、売り上げを伸ばしている。豆乳全体の売り上げ(4~6月)は前年比16%増。販売点数も17%伸びた。「まとめて買うと安くなるため、複数の味を組み合わせて買っていく客が多い」という。
日本豆乳協会は豆乳飲料について「豆乳全体の2割とシェア(占有率)こそ小さいが、豊富なアイテム数が棚を広げることに一役買っている」と評価する。