【中田徹の沸騰アジア】スタイリッシュな電動スクーター登場、台湾独自ブランドは成功できるか

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台北市内で行われた、EVや自動車アクセサリー、二輪部品などの合同展示会の様子
  • 台北市内で行われた、EVや自動車アクセサリー、二輪部品などの合同展示会の様子
  • Gogoroのスマートスクーター
  • 台北市内で行われた、EVや自動車アクセサリー、二輪部品などの合同展示会の様子
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台湾は、エレクトロニクス産業、IT産業を中心に高い製造技術を持つ。世界最大のEMS(電子機器受託製造サービス)企業である鴻海精密工業(ホンハイ)が代表格だが、部品メーカーなども多い。製造業を裏方として支える台湾企業が多いものの、台湾独自ブランドというものをほとんど聞かない。携帯電話のHTCも、一時の勢いがなくなってしまったようだ。

ブランド育成が不得手な台湾だが、デザイン性の高い電動スクーターの独自ブランドが突如現われ、話題を呼んでいる。

◆EVスクーターが花盛り

2015年4月8~11日、台北市内の2か所において電気自動車(EV)や自動車アクセサリー、二輪車部品などの合同展示会が行われた。台北のランドマークである高層ビルTAIPEI 101に隣接するワールドトレードセンターに設けられたEV関連の展示エリアでは、KOMO、SWAP AHAMANI、CHUMPO、易速達(Isuda)、歩歩通、威勝、田都電車(3E)など多数の電動二輪ブランド/メーカーが出展していた。

台湾では2017年から二輪車販売の20%をEV、HV(ハイブリッド)、ISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)のいずれかにしなければならないと決まっており、新型EVスクーターの開発ラッシュとなっている。「これからは環境問題に取り組まないといけない」との考えで、新たにEVスクーター事業を始めた会社もある。また、ヤマハは2014年12月に台湾で電動コミューター『イービーノ』を発売した。

◆台湾発のGogoroがデビュー

今、最も熱い視線を浴びている台湾の電動二輪ブランドはGogoroだ。Gogoroは今回のEV展には出展していなかったが、3月30日に台湾101の目と鼻の先にエクスペリエンスセンター/旗艦ショールームをオープンしたばかり。今夏(5月頃)に予定されている発売より一足先に市民にアピールする狙いで、水色のTシャツを着た店員たちがバッテリー交換式の「スマートスクーター」の説明に追われていた。

Gogoroのスマートスクーターは今年1月に米国で開催された世界最大級の家電見本市CESで、初めて発表された。製品開発したのは2011年設立の台湾のベンチャー企業、睿能創意だ。台湾を試験的な市場と位置づけ、台北市と新北市でバッテリーの交換ステーションを設置する計画。生産は桃園県の工場で行われる。

デザイン性の高いGogoroは曲線美が特徴だ。走行性能も高い。0-50km/時の加速は4.2秒で、最高速度は95km/時である。航続距離は約100km(使用条件による)。バッテリー(パナソニック製2個)を含む車体重量は112kgとなっている。現地報道によると、1台当たりの生産コストはバッテリー別で20万台湾元(約80万円)だが、普及促進のために小売価格は抑えられるようだ。

◆EVアイランドになれるか

台湾は成長戦略としてEV産業の発展に力を入れてきた。しかし、EVスクーターの販売は今のところ伸びていない。「毎日充電しないといけないため不便」というのが主な理由だ。従来的なデザインのまま駆動システムを「不便」で割高な電動タイプに変更しただけでは、当然の結果といえる。デメリットを補って余りある新しい魅力がなければ、消費者は振り向いてくれない。

台湾では二輪車が日常生活の足となっている。住宅地などでは道幅が狭いところが多いためだ。Gogoroは日常の足としては高価過ぎるが、富裕層が趣味として乗ることはあるかもしれない。あの可愛いらしいデザインにはそれだけの魅力がありそうだ。Gogoroのスクーターが台北市内を走り回っていたら面白いだろうな、と思う。そして、台湾を代表するオリジナルブランドとして世界に存在感を示すことができるか、楽しみだ。

《中田徹》

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