日立オートモティブシステムズは4月23日、新たなセミアクティブサスペンションの電子制御技術を開発、走行時の車両振動とコーナリング時姿勢変化を、それぞれ約10%抑制することに成功したと発表した。
セミアクティブサスペンションは、車両の振動を低減するためにスプリングの伸縮性を高めると、カーブを曲がる際などに車体を平行に保つ機能が低下するため、乗り心地と走行安定性を同時に向上させることが課題となっていた。
日立オートモティブシステムズは今回、車両の振動と傾きを、より高精度に解析できるアルゴリズムを開発し、より柔軟なセミアクティブサスペンションのスプリング伸縮制御を可能にした。
具体的には、単位時間当たりの加速度の変化率など、車両の振動に影響を与える定量化された指標を、乗り心地向上のため、従来よりも多く組み込んだアルゴリズムを開発。同時に走行安定性の高い車両の挙動を定式化し、これを再現するアルゴリズムを開発した。これら2つのアルゴリズムをセミアクティブサスペンションの電子制御ユニットに組み込むことで、さらに滑らかな乗り心地と安定走行性の向上を同時に実現した。
また、セミアクティブサスペンションの動きを制御するために、車両の状況を検知するセンサーは通常7個使用されているが、同社では、車両の状態を高度に推定する技術を適用することで、従来と同等の性能を4個のセンサーで実現できるシステムを開発し、コスト低減も可能とした。