世界各地でイスラム国(IS)などの過激派集団などによるテロリズムへの懸念が高まっており、マレーシアもテロの脅威に晒されている。
こうした状況を踏まえ、「2015年テロリズム防止法」が6日、国会で第二読会に付され、10時間に及ぶ審議を経て同日中に可決した。
テロリズム防止法制定の目的は▽外国のテロリスト組織が関与する暴力行為の支援や参加を防止し、テロリズムに影響を受けた個人を取り締まること▽いかなる個人も法的措置を逃れてテロリズムに参加することができないようにする▽国民や国家の国防組織が軍事的なテロ活動に参加するテロリストからの脅威に晒されないようにする--。
テロリズム防止法の骨子は以下の通り。▽警察官は、事情聴取を行う必要を正当化するだけの理由がある場合、正当な理由なしに疑わしい個人を逮捕することができる▽「容疑者」が逮捕された場合、逮捕日から7日以内に検察が捜査を行うための決断をすることができる▽逮捕された容疑者はそれまでに釈放されない限り、24時間以内に治安判事の元に送られる場合がある▽政治的信条あるいは政治的活動のみを理由に逮捕、拘束されることがあってはならない--。
国会審議では、与党議員らの賛成派から、テロリズム攻撃が起きるまえに抑止力を持つことは重要、また若者をテロリストが広めている思想に洗脳されないよう守るべきとの声がでた一方、野党議員らから、テロリズム防止法が人権や自由権を侵害しているとの声が挙がった。マレーシアでは、シリアから帰国したばかりの2人を含めた17人がテロリズムに関与した疑いがあるとして先ごろ逮捕されている。