【マツダ CX-3 発売】もともと静かな車内、エンジン騒音・振動低減技術は本当に必要か

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マツダ CX-3
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マツダが2月27日に日本市場に投入したコンパクト・クロスオーバーSUV『CX-3』。日本でのエンジンラインナップは1.5リットルターボディーゼル「SKYACTIV-D 1.5」のみと、ターゲットをかなり絞り込んでいる。

搭載される1.5リットルターボディーゼルは昨年デビューしたコンパクトモデル『デミオ』に先行搭載されたものだが、CX-3はガソリン車の選択肢がないぶん、新技術を投入してディーゼルのネガティブファクターである騒音・振動の低減を図っている。ノッキング音の成分となる共振を打ち消すことを目的に、エンジンのピストンピンに挿入されたダンパー「ナチュラル・サウンド・スムーザー」である。

その効果を、装着モデルと非装着モデルを乗り比べることで検証してみたところ、両者には体感できるレベルの違いがあることが確認できた。とくに違いが出るのはアイドリングから市街地走行の低負荷領域。非装着モデルの加速時のノイズを擬声語で「カラララララ…」と表現するならば、装着モデルのほうは「コロロロロロ…」というイメージ。

もっとも、ナチュラル・サウンド・スムーザーはぜひあったほうがいいというほどの差分を感じたわけでもない。この1.5リットルターボディーゼルはもともとディーゼルとしては騒音・振動が良好に抑制されており、エンジンルームから室内への遮音性が優れいていることとあいまって、もともと静かだからだ。

オーディオのボリュームを少し上げれば、ナチュラル・サウンド・スムーザーの有無による違いはほとんどわからなくなる。低周波音などノッキング音以外のディーゼルエンジン特有の音までなくなるわけではないため、存在感としては、ついていたら嬉しいという程度か。

このナチュラル・サウンド・スムーザーは減速エネルギー回生機構「i-ELOOP」と合わせた「イノベーションパッケージ」として用意される。が、アイドリングストップは全車標準装備で、i-ELOOPを追加装備しても燃費面で恩恵を受けられそうなのはアイドリングストップがより早く効いてほしい、コールドスタートからの短距離走行中心のユーザーが主だろう。

中長距離通勤やロングドライブが主体というユーザーが、ナチュラル・サウンド・スムーザー欲しさに6万4800円を支払ってパッケージオプションを積極的に選ぶ意義はあまり大きくなさそう。CX-3の1.5リットルターボディーゼルに比べてノッキング音が大きく、また快適性やエンジン音質へのユーザーのこだわりがより強い、『アテンザ』や『CX-5』などの2.2リットルターボディーゼルへの適用が期待される技術であるように思われた。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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