【トヨタ MIRAI 試乗】“未来的ではない”ところに本気を感じる…岩貞るみこ

試乗記 国産車
トヨタ MIRAI
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あまりにもふつうで、びっくりのトヨタ『MIRAI』である。燃料電池車と聞いて、宇宙船にでも乗り込むつもりで緊張した自分が情けない。未来のこどもたちは、燃料電池が当たり前と思って生活することを考えると、昭和生まれの化石燃料世代は、まさに化石と呼ばれそうだ。

空気抵抗を考えたフォルムは、すらりとした流線型。デザイン的にはあと数cm天井を低く抑えると、画期的なラインになったそうだが、天井が低くて頭がつっかえるリアシートほど情けないものはないので、これで手を打ってくれて正解だと思う。

フロントグリルは個性を強調していて気合もやる気も感じるけれど、市販車として世の中に入り込むのだという軸足のぶれなさ加減が、見る側に違和感をまったく与えない。

運転席から見える景色も、本当にふつう。見慣れたハンドル、見慣れたカーナビ、ややもすればハイブリッド車のほうが奇抜と思えるほど落ち着いたシフトレバー周辺のデザイン。ついでに水素残量が見慣れすぎのガソリンスタンドの給油マークになっていて、あのう、このくらい水素マークを新たにデザインしてもいいんじゃないの? と思うくらいだ。このマークが点灯したら、つい「ガソリンスタンドに寄りましょうよ」と言っちゃいそうだし。ちがうよ、行くべき場所は水素ステーションだよ。

走り始めると、ハンドルより前方から「ひゅい~ん」という音と、オシリの下から、濁点のついたような「ばばばばば…」という音が聞こえてくる。開発担当者に尋ねたところ、ひゅい~ん音は、水素を送り込むコンプレッサー音で、ばばばば音は、使いきれなかった水素をもとに戻すポンプ音だそうな。エンジン音とは違うこれらの音が、静かにかすかにひびきわたる車内は、ちょっと不思議な気分である。

燃料電池といえども走りは電気自動車。加速はスムーズで振動がない。しなやか~な乗り心地。スタックやらなんやらでトランクが狭いのと、後部座席の人の足先が、前席の下に入れられないことをのぞけば、本当にふつう。

でも、一過性のブームや、自己満足で作るのではなく、普及させるってことはきっとこういうことなのだと思う。特許も全部、無償公開するっていうし、トヨタの燃料電池車戦略は、ほんとうに本気なのである。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア / 居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★


岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材中するほか、最近は ノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。
《岩貞るみこ》

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