マレーシアの警察は全国のイスラム教の宗教学校がイスラム過激派の養成所となっていないかどうか監視を行っている。
マレーシアでもテロリズムへの警戒が強められており、特にマレーシア人の若者が「騙されて」イスラムの名を借りたテロリスト集団に加わることへの懸念が広まっている。ナジブ・ラザク首相はフランスでのテロ事件に関して、「中庸をもって過激主義と闘うべきである」とのコメントを発表している。
マレーシアやインドネシアからは多くのイスラム教徒が中東に渡りテロリストによる訓練を受けていると見られている。カリド・アブ・バカル警察長官は、「ニューヨーク・タイムズ・ビデオ」の特集にとりあげられたケダ州にあるマドラサ(宗教学校)を含めて、シリアに渡って戦闘行為に加わるよう教育している組織がないかを監視していると明らかにしている。また、テロリズムに関与するような証拠が出た場合には適切な対応を取ると表明した。
マレーシア政府によると、60人以上がシリアやイラクにおけるジハーディスト(聖戦主義者)の活動に関与したとして逮捕されている。実際にこうした活動に関与しているマレーシア人の数は数百人のぼると見られている。
昨年8月にはディスコやパブ、ビール醸造のカールズバーグを攻撃する計画を立てていたとして19人が逮捕されたが、うち12人は証拠不十分で釈放されている。カトリック教徒などの非イスラム教徒による「アラー」の使用を巡り議論が起こるなど、マレーシアでは宗教を巡る議論が活発化している。
イスラム教徒であるマレー人は人口の60%を占めており、残りは華人やインド系その他の民族となっている。
(ファイナンシャル・タイムズ、1月19日)