旅行会社も注目する「子連れ留学」がひそかなブーム

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 保護者と子どもが一緒に参加する留学プログラムが近年注目を集めている。保護者の英語能力強化が留学の主な目的だが、幼い時期の異文化体験は子どもの教育にもよい影響を与えるとして、子どもを連れた留学プランをJTBやHISなどの大手旅行会社が提供している。

 フルタイムのワーキングマザーだった私は、異国で長い時間を母子で滞在するだけで、学びはたくさんあるはずだとハワイ留学に踏み切った。普通の会社で1か月以上の休暇を願うのは難しい上、失職につながる可能性もあるが、職場復帰を約束することで1か月半の休みをもらった。

留学の目的と準備

 親子留学のもっとも大きな目的は、子どもの語学向上ではなく、あくまで自分の英語のスキルアップだった。日本語教師の資格取得後、ボランティアで休日に活動していたが、媒介語としての英語スキルや相手の文化的背景を知ることが大切だと感じたことがきっかけだった。

 留学先をハワイに決めたことにも理由があった。祖父母を交えた家族旅行で息子が赤ちゃん時代から旅していたことや、主な街の概要を把握していたことは判断材料となった。車を運転しなくても安価で島を回れる公共バスの整備や、日系文化が根付いている土地ゆえに日本と同じような食事がとれることも大切だった。

 ただ、ハワイ留学を検討し始めて気づいたのは意外と少ない情報源だ。目に入るのは「ハワイ旅行」というプロモーション広告などで、幼児を連れた親子留学を目的とした私にとっては情報が不十分だった。「ハワイ親子留学生活」がどのようなものなのか、行き着いたのはハワイに特化した留学エージェントだった。ハワイでの子育て経験もあるエージェントの社長と話を重ねる中で、今回の旅を任せることにした。

 長かった準備期間も、出国ゲートに立つとあっという間に感じてしまう。出国ゲート前に佇む家族3人、私と息子は出発、残るは日本で仕事のある夫だ。なんとも言えない空気感が私たちを包む中、「ママ、ハワイ早く行こう。パパ、行ってきます!」という3歳の息子の言葉に救われた。

ハワイ到着、子どものプリスクールと親の語学学校

 旅は人を成長させると言う。ホノルルに着くと、まだ私の抱っこが大好きな甘えん坊だった息子は、自分の荷物は自分で背負い、さらに私のバッグまで転がしてくれた。到着数時間後にはハワイでの我が家に到着。その後約1週間かけて生活用品の調達や、子どものプリスクールの準備を行った。

 子どもが通うプリスクールは、日本人の牧師がいる教会が運営している。門はしっかりと施錠されており、交通量の多い通りに面していることからか、セキュリティもしっかりしていた。初日には、校舎内を案内してもらい、トイレに使い方、ランチの食べ方、送迎の確認など、ジェスチャーを交えながらすべて英語で教えてもらった。子どももナーバスになっていたようだが、プリスクールに着いて自己紹介を終えると、周りに集まってきた子どもたちに連れられて大きな木の園庭へと駆け出していった。

 子どもがプリスクールに通い始めると、次は自分の語学学校デビュー。語学学校のプログラムは初日が決められており、週半ばから授業に加わることができない。そのため、最初の数日は慣らしも兼ねてプライベートレッスンを受講した。語学学校の受付には、日本人の担当者が常駐していたため、入学手続きなどでは助かった。クラス分けのためのプレイスメントテストでは、TOEICのような形式で英語のテストが90分あり、その後学校長と1対1でインタビューが行われた。

 プレイスメントテストでは、コミュニケーションは難しいが文法 は解ることが明確になり、文法を英語で学びながら発話を促す授業を受講した。学生ビザを取得していなかったため、フルタイムで受講することはできなかったが、週4日、1日4時間の授業を受けた。

 授業内容はさまざまだが、ディベートまでは行かずとも、テーマに対して自分の意見を述べ、みんなと楽しむクラスの空気が新鮮だった。宿題は作文、英文法問題を中心に1日2時間ほどの量。子どものケアをしながらだったため、深夜まで勉強を続けたことを覚えている。

親子留学の効果と発見

 約1か月の親子留学だったが、ハワイでの日々の生活やプレスクールは子どもの英語力に大きな影響を与えた。日本では、ハワイ留学を決めてから英会話スクールで1週間に1度の外国人講師による英会話のレッスンを受講したが、それでも最低限の挨拶と必要なクラスルームでの会話を何度も練習してプリスクールに通うレベルだった。

 留学を通じて、まず語彙が増えた。発話よりも理解できるフレーズが増え、それに従って行動できるようになった。また、発音もよくなり、特に果物や色などといった知っている単語については、ネイティブ発音に近くなった印象を受けた。

 また、英語力以外の部分の成長も大きい。ハワイのプリスクールでは、英語を話すことができなくても自主的に友だちとコミュニケーションをとろうとする姿勢が不可欠だ。最初は戸惑っていたが、「お手洗いはどこですか」「~へ行っても(しても)よいですか」「今は何時ですか」などと言ったシンプルなフレーズが躊躇せずに聞くことができるようになった。

 親子留学のもっとも大きな目的だった自分の英語スキルだが、まず、英語を話すことに躊躇しなくなった。これは、学校に通った影響だけでなく、子どものケアをする上で日常的に必要不可欠だったからだろう。形ばかりの会話例ではなく、身近なことを気がついたら英語で話すようになっていた。そういう意味では、親子留学という留学方法が、英語でのコミュニケーション能力を高めたと言える。

 日本語教師のボランティアはその後、仕事の関係で行けなくなったが、子どもへの語りかけや、その後何度か繰り返した親子留学の自己手配では効力を発揮した。語学力だけでなく、メンタル面も強くなったと感じている。

<著者紹介>櫻井庸子(通称:るんまま)ハワイ親子留学アドバイザー
 働きながら自らの英語でのコミュニケーションスキルアップのために、当時3歳の息子を連れて母子でハワイ親子留学へ旅立つ。語学習得だけが目的ではない親子留学の実態を綴りながら、自力でハワイ親子留学を志す人を対象としたコンサルティングに力を注いでいる。

ハワイへの親子留学、母子で二人三脚の英語学習体験記

《編集部》

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