2億ドルの気候変動拠出金にも取られ
保守連合連邦政権は5月予算案で海外援助予算を大幅に削り、野党2党や海外援助団体から批判を受けた。その後、先日にはペルーの首都リマで開かれた気候変動問題予備会議でジュリー・ビショップ外相が、国際的な気候変動に対する取り組みのプログラムに2億ドルを拠出すると発表した。しかし、その2億ドルは大幅に削られた海外援助予算から充てられることが明らかになると再び批判が強まった。
12月15日、期中経済財政見通し(MYEFO)を発表する予定だったジョー・ホッキー財相は、マーチン・プレース喫茶店籠城事件で発表を取りやめ、資料だけを配付した。それによると海外援助予算は海外援助史上最低水準に下がっており、向こう4年間で40億ドルほどの予算削減になる。海外支援団体では、「ぐうたらで無能な予算案」と口をきわめて非難している。
5月予算案とMYEFOでの海外援助予算削減額は全予算削減額の3分の1以上を占めている。この減額で、OECD中の28か国を海外援助予算で比較するとオーストラリアはこれまでの13位から20位に転落する。ホッキー財相は、「海外援助予算減額は、13億ドルの国防・国家公安追加予算を相殺するために充てられる。
ワールドビジョンのティム・コステロCEOは、「こんなひどいカットは初めてだ。残酷無慈悲な措置だ」と批判、いくつもの海外援助団体が、「オーストラリアはOECD中4番目に豊かで、6番目に国家財政赤字が小さい国でありながら世界でももっともけちくさい国の一つになった」と批判している。また、セーブ・ザ・チルドレンのポール・ロナルズCEOは、「ホッキー財相は逆ロビン・フッドだ。世界最貧国の人々を助ける援助金を取り上げ、予算の穴埋めにしようとしている」と語っている。
また、団体の中には、海外援助予算大幅減額でこれまでオーストラリア歴代政府が築き上げてきた世界各国との関係も薄れていくことになる」と批判するものもある。
現在、オーストラリアはGDP$100につき32セントを海外援助に充てているが、2018年度には$100あたり21セントに落ちる。
■ソース
Foreign aid budget plunges to lowest level in Australian history