宇宙科学研究所など、小惑星ベスタの「衝効果」を世界で初めて確認

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口径6.4cm望遠鏡で観測した小惑星ベスタ。中央の緑丸がベスタ
  • 口径6.4cm望遠鏡で観測した小惑星ベスタ。中央の緑丸がベスタ
JAXA宇宙科学研究所や国立天文台などの研究者を中心とする研究チームは、国内外にある小口径の望遠鏡を用いた観測で100年に1度、地球から見て小惑星ベスタの表面が一時的に非常に明るくなる現象「衝効果」を、はっきりとらえることに世界で初めて成功した。

小惑星ベスタは、地球から見て最も明るい小惑星で、1807年に発見されて以来、様々な手法によって観測が行われ、多くのことが判明している。大きさや表面の反射率、自転周期などは、100年以上前から判明しており、宇宙科学研究所も、小惑星を研究で表面に揮発性成分を含む鉱物が存在していることを発見している。最近では、米国のドーン探査機が2011年から2012年にかけて小惑星ベスタにランデブーして詳細な探査を行っているが「衝効果」は確認されていなかった。

「衝効果」現象は、100年以上前に土星の環で発見され、月や火星でも見られる。月が満月の時にお盆のようにひときわ明るく見えるのもこの効果によるもの。特に位相角が1度以下から顕著に現れることが知られている。

「衝効果」の検証を行うためには、過去の他の天体の観測例から、位相角が1度以下で詳細に観測する必要がある。ただ、ベスタの軌道面が地球の軌道面に対して少し傾いているため、地上の観測者にとって、この位相角が1度よりさらに小さな0.1度近くになるのは100年に1回程度。天体の明るさを光電的に記録できるようになった1950年以降から、一度もその機会がなかった。

2006年に小惑星ベスタの位相角が0.1度近くになることに気がついた研究チームは、「衝効果」の研究のため、JAXA相模原キャンパスの屋上に仮設置された口径6.4cm望遠鏡や、個人天文台である宮坂天文台の36cm望遠鏡、兵庫県立西はりま天文台の60cmに同架させた7.6cm望遠鏡、ウズベキスタンのマイナダク天文台の60cm望遠鏡で測光観測を行った。加えて西はりま天文台にある200cm望遠鏡と国立天文台岡山天体物理観測所の188cm望遠鏡で分光観測した。

位相角が0.1度付近での観測の結果、小惑星ベスタの表面が急激に明るくなる現象を初めて明確にとらえることに成功した。

また、ベスタのごく表層の密度を求めることにも成功し、衝突によって形成されたレゴリス(堆積層)に覆われた表面の密度は、ベスタの平均密度の1/4~1/2であることも初めて明らかになった。

小惑星ベスタの「衝効果」を再度地球から観測するための次の機会は、今から約120年後の2133年になる。

今回の研究成果は10月25日発行の日本天文学会欧文研究報告誌(PASJ)に掲載された。
《レスポンス編集部》

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