生産抑制により、ブランドの希少価値を高める方針へシフトしたイタリアのスーパーカーメーカー、フェラーリ。同社の会長の退任により、この方針が見直される可能性が出てきた。
これは9月11日、フェラーリが発表した2014年上半期(1-6月)決算において、明らかにされたもの。2014年の世界新車販売が、前年比5%増となる見通しを公表している。
2014年上半期の世界新車販売は、前年同期比3.6%減の3631台。2013年の世界新車販売は6922台で、前年比は5.4%のマイナスだった。これは生産台数を抑制し、ブランドの希少価値を保つフェラーリの戦略による。
ところが、2014年通期の世界販売見通しは、2013年に対して5%増える見込みに。これは、2014年下半期(7-12月)、生産台数が前年よりも増える可能性を示唆している。
もともと、生産の抑制は、フェラーリのルカ・ディ・モンテゼーモロ会長が2013年春に打ち出したもの。そして、この方針は2013年5月から、実行に移された。しかし、同会長は2014年10月13日付けで、フェラーリを去ることに。
ルカ・ディ・モンテゼーモロ会長の辞任後は、フェラーリの親会社のフィアットのセルジオ・マルキオンネCEOが、フェラーリの会長を兼務する体制に。マルキオンネCEOは、フェラーリの納車待ちの長さを嫌う顧客が、他社に流れ、ビジネスチャンスを逃しているとの考えと伝えられており、フェラーリがマルキオンネ体制の下で、従来の方針を変える可能性はある。