自動車部品サプライヤーの大手、ボッシュは、二輪車の安全技術普及にも注力する。19日に行なった2014年次記者会見では、二輪車用エンジンマネージメントシステムの開発を明らかにするとともに、「モーターサイクルセーフティ」のビジョンも発表した。
会見の冒頭では、同社のウド・ヴォルツ取締役副社長は「我々にとって二輪車は重要なビジネスだ。KTM社の『1190アドベンチャー』に弊社の二輪車用スタビリティコントロール(MSC)を、世界で初めて搭載するなど業界をリードしている」と述べる。
また、二輪安全システム開発部門長のフェウゼイ・ユルドゥルム氏は、二輪の安全環境の現状と課題について、「交通事故による死者数は、2020年に全世界で200万人に達する見込みである。そしてその25%は二輪車による事故が占めている。ドイツの機関が発表したデータによると、そのうち26%が、ABSがあれば防げた事故である。加えて二輪車死亡事故の46%はコーナリング時に発生している」と説明。
それに対するボッシュの解として「モータサイクルを操る喜びのひとつは、コーナリングにあり、その魅力を殺さずに安全性を高める。そこで生まれたのが、ABSと傾斜センサーを統合したMSCである。今後も開発を続け、より高い安全性、そして快適性を追求していく」と語った。
ちなみに、自動車のような緊急ブレーキアシスト技術の開発は行なっているのかという問いには、「それについては行なっていない」との回答。
ボッシュの二輪車用ABSは1984年に開発を開始し、95年に市場に投入。2009年にモーターサイクル専用設計のABS「ジェネレーション9」を発表し、2013年にKTM 1190アドベンチャーにMSCが採用された。加えて2007年に日本に二輪車用安全技術のコンンピテンスセンターを設立、同社モーターサイクルセーフティーの開発拠点となっている。