「マレーシアは世俗国家ではない」マレーシア首相府相発言が物議

イスラム刑法のハッド刑(固定刑)の導入を巡って論争が続く中、ジャミル・キル・バハロム首相府相の「マレーシアは世俗国家ではない」とのイスラム国家認識を容認する発言が物議を醸している。

エマージング・マーケット 東南アジア

イスラム刑法のハッド刑(固定刑)の導入を巡って論争が続く中、ジャミル・キル・バハロム首相府相の「マレーシアは世俗国家ではない」とのイスラム国家認識を容認する発言が物議を醸している。

ジャミル首相府相は、「歴史的にみてもマレーシアの成り立ちがスルタン制に基づくイスラム統治を基礎としたもので、スルタンは各州のイスラムの首長である」と指摘。「他宗教の信仰が平和裏を前提として認められてはいても、イスラムが連邦の宗教であることは連邦憲法第3条でも規定している」とした上で、イスラム裁判所の権限が及ぶ範囲の案件については世俗裁判所の権限が及ばないと述べた。

これに対しマハティール・モハマド元首相は、マレーシアはイスラム国家となる条件を満たしていないとした上で、イスラム国家化を強行すれば多くの社会問題が生じかねないと指摘。「イスラム裁判所の権限が及ぶ範囲の案件には世俗裁判所の権限が及ばない」との見解は誤りだとした。

民主行動党(DAP)のゴビンド・シン下院議員は、マレーシアが世俗国家かどうかは連邦裁判所に審判を仰ぐべき問題だと指摘。国王に対して連邦裁判所への審理依頼を要請した。

伊藤 祐介

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