サノヤス造船は10日、同社水島製造所でパナマックスバルカー「CRYSTAL STAR」の竣工を発表した。
同社で建造のSOUTHERN ROUTE MARITIME, S.A.向け、パナマックス型ばら積貨物船「CRYSTAL STAR」の命名式が6月9日に同社水島製造所にて挙行され、翌6月10日に船主側へ引き渡された。
本船は、“サノヤスパナマックス”新バージョン、8万2000トン型の記念すべき第1番船となる。従来と比較して燃費性能を10%向上させた8万3000トン型を受け継ぎ、船型改良を加えて燃費性能を更に10%改善(当社比)、貨物倉容積をひとまわり大きくした最新鋭・高性能の省エネ船型だ、という。
性能面では、省エネルギーに配慮した仕様を多く盛り込むことで高効率化を図り、また各種環境対策仕様を採用することにより、環境にやさしい船となっている。
省エネルギー対策としては低回転・大直径プロペラに加え、当社が独自に開発した省エネ装置であるSTF(サノヤスタンデムフィン:シンプルな平板構造で費用対効果に優れ、最大で6%の省エネ効果)と舵の省エネ付加物を組み合わせて装備することにより、更なる推進効率の向上並びに低燃料消費量を実現している。
主な環境対策としては、NOx(窒素酸化物)排出2次規制に対応し、かつ省燃費性能に優れた電子制御式の主機関を搭載し、大気汚染防止およびCO2の排出削減にも成功。バラスト水処理装置を搭載し、また燃料タンク防護規制を適用することで、海洋環境保護にも寄与している。その他、居住区生活排水・ホールド洗浄水・甲板上雨水の船内一時貯留専用タンクを備えるなどの環境対策仕様を採用している。
また、上甲板から二重底へアクセス可能なトランクを設置し、貨物を積載している時でも検査・点検ができるようメンテナンス性の向上を図っており、居住区では木質家具を多く採用し乗組員の居住性を高めるとともに、機能性・操作性を重要視した船橋配置及び後方視界を確保している。